いよいよ梅雨明けも近づき夏本番も迫っていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今月もGoodpatchで話題になったサービスやトレンドをご紹介します!

サービス

GPT-4/GPT-3.5がアップデート、APIは関数呼び出しに対応

https://openai.com/blog/function-calling-and-other-api-updates

Open AIは6月13日(現地時間)、大規模言語モデル(gpt-4とgpt-3.5-turbo)のアップデートや、Chat Completions APIにおいて、関数呼び出しなどの機能強化を行ったことを発表しました。

新たに対応した関数呼び出しでは、呼び出す関数と引数の情報を含むJSONオブジェクトをモデルが出力できるようになり、開発者は構造化データをより確実に取得できるようになりました。

例えば、あるシステムに天気の情報を取得するプログラミング関数 getWeather() が存在するとします。このとき「明日の天気は洗濯日和?」といった言葉をGPTに入力すると、コンテキストに応じて、getWeather( ‘tomorrow’ ) といったような関数と引数を出力してくれます。実行するべき関数名をGPTが指定してくれるため、システムはその関数の処理を直接実行することができ、明日の天気が取得されます。取得された天気の情報を再度GPTに入力すれば、洗濯日和かどうかを適切にアナウンスしてくれるでしょう。

このように、実行するべき関数と引数をGPTが教えてくれるため、システムの中にGPTを組み込みやすくなります。グッドパッチ社内からは、自社サービスStrapでOpen AI社のモデルを活用していることもあり、使い方の拡がりや安定性の向上が見込まれることへの期待の声が聞かれました。

プロダクト

Apple Vision Pro 発表

https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/06/introducing-apple-vision-pro/

Appleは6月5日(現地時間)、同社の開発者イベントであるWWDC2023で、デジタルコンテンツと現実空間をシームレスに融合する空間コンピュータ、Apple Vision Proを発表しました。

Apple Vision Proは高解像度ディスプレイや高性能のチップ、カメラなどを多数搭載したゴーグルのようなデバイスで、お馴染みのAppleのサービスが複数同時に日常空間の中で使えたり、動画やオーディオなど没入感のある体験ができるそうです。

これまでのヘッドマウントディスプレイにはない、デバイスを身につけながらデジタルと現実世界のバランスを調整できる点や、コントローラーがなく視線や手のみで操作できる点、完成されたティザームービーなどが社内で話題を呼びました。画期的なUIがもたらすユーザー体験がどのようなものなのか、発売が待ち遠しいですね。

XR分野に明るいグッドパッチUXデザイナーの黒子が、Apple Vision Proのインターフェイスやユースケースの可能性を解説した記事も、ぜひ併せてご覧ください。

BUMP OF CHICKEN オフィシャルアプリ「be there」ローンチ

https://instyle.group/press-release/178445/

INSTYLE GROUPは5月29日、チームラボと共同で企画・作成したBUMP OF CHIKENのファンに向けたアプリ「be there」をリリースしました。

こちらのアプリはBUMP OF CHIKENの楽曲を聴けるだけではなく、会員限定の動画コンテンツや公式グッズの販売などの機能が備わっています。

特に「LIVE MUSIC」という24時間365日過去のライブ音源を流し続ける特徴的なコンテンツがあり、その時の視聴者数や他のリスナーのコメント、リアクションが閲覧できることでファン同士がお互いの存在を感じられるような「居場所」が表現されています。

「Material You」の色に基づいて動的に色が変わるアイコンが用いられており、パーソナライズされた自身の「居場所」をカスタマイズすることもできますね。

グッドパッチ社内では、BUMP OF CHICKENが度々用いるモチーフの「宇宙」を旅しているかのようなデザインなども話題になっていました。会員登録や課金をせずともLIVE MUSICなどの一部コンテンツが楽しめるので、BUMP OF CHIKENの世界観に触れてみてはいかがでしょうか。

デザイン

公式 Design kit「Apple Design Resources」のFigma版が登場

https://www.figma.com/community/file/1248375255495415511/Apple-Design-Resources-%E2%80%93-iOS-17-and-iPadOS-17

Appleは6月7日(現地時間)、Figma上で、iOS 17/iPadOS 17のデザインキットを公開しました。これまでAdobe XDやSketchなどの他のツールに向けたデザインキットはあったものの、公式でFigmaに向けたデザインキットの公開は初となります。

近年はUI/UXデザインにFigmaを使用するデザイナーが増加しているため、公式から発表された際には社内外から喜びの声が上がりました。

これまでも有志が作成したiOSの非公式なデザインキットは存在していましたが、今回発表されたものは網羅性の高さと「Human Interface Guidelines」への導線があることなど、公式ならではの特徴が見られます。

プロトタイプを作ることにはもちろん、データの作り方・管理方法なども勉強になるため、観察をして理解を深めるデザイナーが多く見られました。

今後もiOSではなくmacOS Sonoma、watchOSや、前述のApple Vision ProのOS「visionOS」のデザインキットの追加・アップデートをしていくとのことです。

Human Interface Guidelinesの日本語版が公開

https://developer.apple.com/jp/design/human-interface-guidelines/

Appleは6月7日(現地時間)、自社のデザインガイドラインである「Human Interface Guidelines」の日本語版を公式発表しました。

UI・UXデザインを学ぶ際にまずはじめに必ず読むべきものとされているHuman Interface Guidelinesですが、これまでは英語版でのみ提供されていました。今回日本語版も発表されたことで、多くの人に学習の門戸が開かれ、日本のデザイナーにとって嬉しいニュースだったのではないかと思います。

Human Interface Guidelinesは綺麗なアプリを作るということに着目しているのではなく、ユーザーに良いサービスを届けるという視点でiOSを構成するUIの基本指針がまとまっています。また、最新の考え方を取り入れるようになっているため、同日にもアップデートがありました。

かつて日本語訳を読んだことがある方も、英語版を読んだことがある方も、これを機にもう一度読み返してみてはいかがでしょうか?

イベント

Figma Config 2023 開催

https://config.figma.com/

Figmaは6月21日と22日(現地時間)、Figmaの新機能発表を含めたカンファレンスConfig 2023を開催しました。

今回のConfigではGoogle、Netflix、Pinterestなど錚々たる企業のデザイナー総勢70名以上が登壇し、2日間にわたりサンフランシスコで開催されました。

グッドパッチからも3人のデザイナーが現地参加のため出張、社内に向けてのイベント内容や交流会で得られた情報の共有が行われました。今回の新機能の中では、特に Variablesが革新的であると社内でも大きく話題になりました。使いこなす難易度が高い機能もあり、社内では使いこなすためのナレッジの発信や勉強会の動きが連日行われています。

また、7月6日にはFigma Japan社と共に、Configに現地参加したデザイナーが機能の解説・インターフェース構築のための活用の仕方をお話しするRecapイベントをオンライン開催する予定です。ご興味のある方はぜひお申し込みください。

https://goodpatch.connpass.com/event/287493/

ヨーロッパ最大級のスタートアップイベント VIVA Technology 開催

https://vivatechnology.com/

欧州最大級のテックカンファレンスであるViva Technology 2023がフランスのパリにて6月14日から17日(現地時間)にかけて開催されました。

こちらは2016年から続く、大企業やスタートアップ約13,000社によるオープンイノベーションをテーマとしたカンファレンスで、具体的にはAI、サイバーセキュリティ、メタバースなどの先端技術を使ったソリューションが展示されています。

今回はマクロン大統領やイーロンマスク氏など豪華スピーカーによるディスカッションや公演があることで話題になりましたが、多くのスタートアップとVCを含む投資家が入場するため、ただの展示の場には留まらず、新たなビジネスパートナーや資本金提供のマッチングの場にもなっているそうです。

夏にはパリオリンピックが開催されることからスポーツソリューションに関するブースもあり、仮想現実によりリアルタイムで選手情報が見られる技術など、スポーツ×テクノロジーを使った新たな観戦体験にも注目していきたいところです。

画像:https://vivatechnology.com/sport-tech
没入型仮想技術を用いたサッカー観戦の様子

トレンド

デジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の紹介資料を公開

https://www.digital.go.jp/policies/priority-policy-program/

デジタル庁は6月9日、デジタル社会の実現に向けた重点計画を公開しました。

この計画は、今後目指す社会像である「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」の実現に向けて、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を明記したものです。各府省庁がこれに基づいて構造改革や個別の施策に取り組み、それを発信・提言する際の羅針盤とされています。

内容としては、デジタル社会を目指すための原理や理念、今後特に力を入れるマイナンバーカードなどの政策について記載されている他、行政や産業など各分野のデジタル化に対して具体的な方針や取り組みが記されています。

また、誰でも利用できるように、デジタル庁で使用されているイラスト・アイコン素材が公開されました。

アクセシビリティの観点でデジタル庁のになったりと、目指すデジタル社会の実現に向けた活動や姿勢に今後も注目です。

以上、6月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!