桜もすっかり緑に変わり、いよいよ夏が近づいてきていることを感じさせられる季節になりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

今月もGoodpatchで話題になったサービスやトレンドを紹介します!

 サービス

「太鼓の達人プラス」配信終了。「太鼓の達人 RHYTHM CONNECT」へバトンパス

太鼓の達人 RHYTHM CONNECTのロゴとアプリ画面とキャラクター

https://x.com/taikosp/status/1773590915640369242

2024年3月29日、株式会社バンダイナムコエンターテインメントが提供していたスマートフォンゲームアプリ「太鼓の達人プラス」の配信が終了しました。「太鼓の達人プラス」は、ゲームセンターなどに設置され世代を超えて楽しまれているアーケードゲーム「太鼓の達人」のスマートフォンアプリです。

筆者は本ゲームの大ファンであり、中学生のころにゲームセンターに足繁く通った思い出は今でも色褪せません。時が流れて、ゲームセンターに行かなくなってしまっても、手軽にスマートフォンでプレイできることは大きな魅力で、「太鼓の達人プラス」も頻繁にプレイしていました。配信終了のお知らせを聞いた際には、一抹の悲しさもありました。

しかし、悲しいお知らせだけではありません。2023年11月にリリースされた「太鼓の達人 RHYTHM CONNECT」はその悲しさを吹き飛ばすクオリティで、さらに楽しみやすく、遊びやすくなっています。「太鼓の達人プラス」では課金モデルでの楽曲開放だったのですが、太鼓の達人 RHYTHM CONNECTは広告モデルでの楽曲開放となっており、遊びたい楽曲をより手軽にプレイできるようになっています。

無料で遊べる楽曲が多いだけではなく、操作性も向上しており、タップと同時にデバイスが振動するようになっています。また、従来の横画面型ではなく縦画面でプレイが可能になったことで、ライトに遊べるイメージに。

最近では、ゲームセンターが減少したことで、アーケードゲームの業界も少しずつ衰退してしまっている中、このようなリニューアルは非常に喜ばしいことです。ぜひ、あの頃を思い出すようにプレイしてみてはいかがでしょうか。

「JRE BANK」5月よりスタート

JRE BANKのロゴ

https://www.jrebank.jp/top/

東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)と株式会社ビューカードは、デジタル金融サービス「JRE BANK」を5月9日より開始することを発表しました。株式会社ビューカードが、楽天銀行と提携し、当銀行による銀行サービスが提供されます。

ユーザーにとって大きなメリットは特典です。銀行口座を開設した人は、JR東日本グループの事業を生かした特典を受けることができます。

例えば、割引券1枚でJR東日本営業路線内の片道運賃および片道料金が4割引になる「JRE BANK優待割引券」や、モバイルSuica限定で普通列車グリーン車を無料で利用できる「Suicaグリーン券」が挙げられます。こういった魅力的な特典は、インフラとして地盤をしっかり固めているからこそ実現できる価値といえるでしょう。

鉄道だけでなく駅ビルや通販など、JR東日本は私たちの生活圏になくてはならない存在となっています。銀行サービスが始まることで、生活が豊かで便利になるような、チャネルを横断した体験設計が期待されます。JR東日本だからこそ実現できる、シームレスかつ付加価値の高いオムニチャネル施策に注目です。

デザイン

総務省「情報アクセシビリティ好事例2023」公表

総務省のロゴ

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000162.html

2024年4月5日、総務省が「情報アクセシビリティ好事例2023」を公表しました。情報アクセシビリティに特に配慮している企業やその取り組みを奨励すること、そして国民全般に広くアクセシビリティに配慮した製品を知ってもらうことを主な目的として24件の製品・サービスが取り上げられました。

アクセシビリティとは、配慮の対象として障害者だけが恩恵を受けるものではなく、さまざまな状況下におかれているすべての人に対して、情報へのアクセスのしやすさを提供するものです。その中には、ネット環境が悪い人や、画面に太陽が反射して見えにくい人なども含まれています。

2024年4月1日から、障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)が改正されました。それにより、国や地方公共団体などに義務付けられている「合理的配慮の提供」が、民間の事業者も義務化されたことで、アクセシビリティの注目度は高まっています。

サービスやWebサイトにおいて、今後より高いレベルのさまざまなアクセシビリティの配慮が必要となりそうです。

グッドデザイン賞2024応募開始

GOOD DESIGN AWARD 2024 のロゴ

https://archive.g-mark.org/entryguide/

2024年4月1日、グッドデザインアワード2024の応募がスタートしました。本アワードは、有形無形のあらゆるデザインを対象としており、昨年は「液状のバターオイル」や「楽しさと社会貢献の両立を実現する仕組みであるECサービスの“Kuradashi”」などが受賞しており、幅広く応募が集まり、「くらし、社会を豊かにするか」「今後の社会において良きお手本となるか」という視点から審査がされています。

筆者は、プロジェクトで行き詰まった際、よく過去の受賞作品などを拝見してアイデアの着想を得ています。個人的には、昨年のグッドデザイン大賞を受賞した「52間の縁側」がとても素敵だなと思っており、情緒的な価値に訴求した取り組みで、根底にある「共創」という理念が見事に表象されている点に感銘を受けました。

私もUXデザイナーの1人として、いつか受賞したいと考える憧れのアワードです。今回、応募される方もそうではない方も、今後のアワードの動向に期待ですね。

イベント

TDC展2024開催中

「TDC2024」展のロゴグラフィック

https://tokyotypedirectorsclub.org/news/tdc2024_ggg/

4月1日にギンザ・グラフィック・ギャラリー (ggg)にて「TDC2024」展が始まりました。

東京タイプディレクターズクラブが主催する「東京TDC賞」は「文字や言葉の視覚表現」を軸に開催するグラフィックデザインの国際賞で、昨年度は国内外から3675作品(国内1830作品、海外1845作品)が寄せられ、 デザイン年鑑に掲載する486の入選作品が選出されました。

こちらの展示には「東京TDC賞」での昨年度の受賞作品・ノミネート作品を中心に特に評価の高かった約130作品が出展されているとのこと。ポスターやフォント、パッケージや衣服など国内外の優れたグラフィックの作品が現物で見られる貴重な機会です。会期は5月15日まで。

また、受賞作品だけでなく、中村勇吾さんが手がけた繊細で不思議な展示会のグラフィックも社内外で大きな話題となっています。会場では、こちらのグラフィックのさまざまなバリエーションが、サイネージで動く様子も見ることができます。足を運んでみてはいかがでしょうか。

新卒デザイナー&エンジニアLT「はじめての〇〇」開催

「新卒デザイナー×エンジニア はじめての〇〇」のアイキャッチ

https://connpass.com/event/313244/

2024年4月12日に、新卒デザイナー&エンジニアLT「はじめての〇〇」という、新卒1〜4年目のデザイナーとエンジニアを対象にしたLT&交流イベントが開催されました。LTとはlightning talkの略で短いプレゼンのことです。

登壇したおがわ氏は、「斜に構えてWhy so?」という意識付けのためのキーワードを作り、あえて斜に構える見方もすることで、新たな視点でWhyを考えることができたという自身の体験談を語りました。一方、うすい氏は「自分はなぜできないのか」と悲観的になってしまうマインドセットとしてのWhyよりも「どのようしたらできるようになるか」というHowをマインドセットとすることで、成果や成長に向き合えた体験談を語りました。

本イベントには新卒のエンジニアも発表者として参加。それぞれが新卒として仕事に向き合い始めてからの気づきや体験、学びをベースにLTを行い、ピザやお寿司を食べながら、若手同士の交流の場にもなりました。

人生の大切なことをゲームから学ぶ展開催

勇者はUXデザインから生まれる?人生の大切なことをゲームから学ぶ展のアイキャッチ画像

https://gamekaramanabu-ten.com/

2024年3月15日より4月14日にかけて、GOOD DESIGN Marunouchiにて「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」が開催されました。

本展示は、ゲームにおける体験のデザインに着目した展示会となっており、UXデザインの視点からゲームを捉えた、初めての展示会です。

本会場には、ゲームから学べることについての展示とその展示に対応したゲーム筐体がおいてあります。筐体は、レトロなゲーム筐体をイメージされており、ゲーム自体も80年代、90年代のドット絵のゲームを搭載したものになっています。ゲームの背景にある思想に触れつつ、実際にゲームを体感することができる展示でした。

Webページにも記載されている通り、ゲームはプレイヤーの感情を考慮して設計していく必要があり、UXデザインが一般化する遥か前からユーザー中心の設計をしてきた業界です。

筆者もゲームから学んだことがたくさんあり、自分の思想の幹となる部分を作り上げたのは間違いなくゲームです。自分の手でストーリーを進めて、時には困難に直面しながらも創意工夫を凝らして攻略していく考え方を、ゲームから身につけられたと実感しています。

皆さんにも、そんな体験はありませんか?本イベントは4月14日に終了してしまっていますが、今秋には「GOOD DESIGN Marunouchi公募企画展巡回」としての開催を予定しているそうです。続報に期待です。

ビジネス

株式会社博報堂DYホールディングスが新会社ENND PARTNERS設立

ENND PARTNERSのロゴ

https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2024/04/4766.html

株式会社博報堂DYホールディングスが、コンサルティング会社「ENND PARTNERS株式会社」を設立しました。

ENND PARTNERS株式会社は、「より人間中心的な視野で経営や経済、社会を捉え直すことで、より斬新で大きなパラダイムシフトを起こす」と言う思想の下に設立されました。この思想に基づき、志ある日本やアジアのリーダー達と共に企業経営、社会システム、公共セクターのあり方をデザインする新会社としています。

ここで注目したいのは「より人間中心的な視野」という、デザイン経営を前提としたパートナーであると言う点です。

実際、CO-Founder & Principal AdvisorにはIDEOの元会長ティム・ブラウン氏が名を連ねていたり、博報堂DYグループのクリエイティブサービス企業集団kyuと提携するなど、エンドツーエンドで人間中心設計をサポートする体制が整えられています。

日本の社会課題解決には、日本にデザイン経営を今以上に浸透させることは不可欠だと考えています。こういった大きな影響力を持つ企業が本気で、デザイン経営を普及するための動きをとるのは、デザインを生業とする身としてうれしい限りです。これから自分たちも、よりデザイン的な思考と意思決定ができる会社を増やしていけるよう努めたいです。