10月が後半になっていくにつれ冷え込む日が増えました。季節の変わり目いかがお過ごしでしょうか。今月もGoodpatchで話題になったサービスやトレンドをご紹介します!

サービス

こどもの絵を作品集にするアプリ「MUSEUM」リリース

https://themuseum.jp/

9月19日ROLLCAKE株式会社よりこどもの絵を作品集にするアプリの「MUSEUM」がリリースされました。
本アプリは、「こどもの絵や作品がたくさんあり、全てとっておくと場所を圧迫してしまうが捨てるのはもったいない」という課題を、作品の写真をアートギャラリーのような形でアプリ内で表示するという方法で解決してくれるものです。また、日付も登録されているので、急速に成長する我が子の成長記録としても役立ちます。

近日中に、アプリ内で作品をアートギャラリーのように表示するだけではなく、作品集として実際の本にしたり、作品を使ったグッズを作ることなども可能になるようで、思い出をデジタルだけではなく実際のモノに変換することによって、日常にちょっとした彩りを持たせることができるプロダクトになりそうです。

子育てには多くの課題がありますが、それらの課題を解決しつつ、子育ての楽しみでもある「こどもの成長」を実感できるサービスが今後も増えていくことに期待しています。

ReDesignerがリニューアル

https://goodpatch.com/blog/2023-10-redrenewal

グッドパッチが運営するデザイナー特化型キャリア支援サービス「ReDesigner」がリニューアルしました。新たにダイレクトリクルーティング機能を追加し、デザイナー向けの「スキルマップ」「ポートフォリオ作成補助機能」を10月3日に先行公開しました。

一つ目の「スキルマップ」は自分のデザインスキルをグラフで可視化できるもので、制作が大変なポートフォリオよりも手軽に自分のできることや、やりたいことを企業の採用担当者やチームメンバーに共有することができます。二つ目の「ポートフォリオ作成補助機能」は、ガイドに沿って制作時期や概要などを入力することで、ブログを作るような感覚で、採用担当者が知りたい情報がまとまった簡易的なポートフォリオを作成できます。

今冬に向けて、応募前に知りたい情報を網羅したオリジナルの求人票が閲覧できたり、企業から直接スカウトを受け取ることができたりと、デザイナーの新たなキャリア機会を創出するさまざまな機能を順次リリースする予定です。

求人のマッチングに限らず、デザインスキルの勉強方法や悩み相談、目指したいロールモデルの探索など、これまで通りデザイナーのキャリアに役立つ全てを提供するプラットフォームとして進化を続けていく姿勢は変わりません。この機会にぜひ生まれ変わった ReDesigner にご登録いただければと思います。

デザイン

2023年度グッドデザイン賞 受賞作品発表

https://www.g-mark.org/learn/past-awards/gda-2023/gde2023

公益財団法⼈⽇本デザイン振興会は、2023年度グッドデザイン賞の受賞結果を10⽉5⽇に発表しました。
今回は建築や電子機器、コンテンツや社会への取り組みなど幅広いデザインの中から5,447件が審査対象となり、審査を経て1,548件の作品の受賞が決定しました。最も優れた作品に贈られるグッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)は地域で助け合う共生型デイサービス「52間の縁側」が受賞。10月25日から10月29日にかけて全受賞作品の展示も行われました。

グッドパッチからはグループ会社のスタジオディテイルズがブランドデザインを担当した「リンゴだったサニタイザー」と、筺体デザインやサウンドで携わった「乾太くん(RDT-63/RDT-93シリーズ)」がグッドデザイン・ベスト100を受賞。
特に「リンゴだったサニタイザー」は、廃棄されるりんごの搾りかすを活用した循環型モデルの考え方や、再生プラスチックを使用したインテリア性の高いパッケージなどが高く評価されました。

全受賞作品はリンク先の公式サイトからチェックすることができますので、お好みの作品を探してみてはいかがでしょうか。

トレンド

U2が「スフィア」でこけら落とし

https://wired.jp/article/u2-the-sphere-las-vegas-the-edge-interview/

アイルランドのロックバンド、U2がラスベガスの「スフィア」でこけら落とし公演を行いました。「スフィア」は、MSGエンターテインメント最高経営責任者のジェームズ・ドーランの発案した巨大球型コンサートホールです。23億ドル(約3,400億円)をかけて建設され、最新技術をふんだんに活かしたつくりに注目が集まりました。総面積およそ15,000平方メートル、16Kの解像度を誇るLEDディスプレイがステージと客席を覆い、臨場感のある映像が視界いっぱいに広がることで没入感を創出。また、16万7000個のスピーカーによって、大迫力の音がパフォーマンスを彩るのだそうです。実際、スクリーンとスピーカーによる「スフィア」ならではの演出は会場で大盛り上がりだったと報じられています。

一部では派手な演出への嫌悪感や音楽を蔑ろにする表現と揶揄されていましたが、U2のメンバーであるジ・エッジ氏は「音楽がなければ、空虚な見せ物になってしまう。」と語っています。音楽などコンテクストがあるからこそ、技術が表現に昇華するということだと思います。新たな表現の拡張として、今後も最新技術を使ったコンサート演出に目が離せません!

刀、世界初のイマーシブ・テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」を2024年開業発表

https://immersivefort.com/

株式会社刀が世界初のイマーシブ・テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」を2024年春に開業することを発表しました。このテーマパークでは、「イマーシブシアター(体験型演劇作品の総称)」を中心に、さまざまなアトラクション、ショップ、レストランで、世界や事件にのめり込んでしまう「完全没入体験(イマーシブ体験)」ができるとのことです。

刀は、USJの再建で知られる森岡毅氏率いるマーケティング会社です。特にエンターテイメント業界での取り組みが多く「西武ゆうえんち リニューアルプロジェクト」や「沖縄 テーマパーク・プロジェクト」などが例として挙げられます。

プロモーションや広告だけでなく、市場と潜在ニーズを分析し効率のよい事業の勝ち筋を描くことが刀の特徴です。そんな刀が「イマーシブ・フォート東京」では初めて運営まで行うということで、特に事業価値を「イマーシブ体験」においています。市場や潜在来訪客のどんなニーズを見定め、どんな展開が繰り広げられるのか、マーケティング事例としても注目です。

ポケモンシリーズとゴッホ美術館がコラボレーション

https://www.vangoghmuseum.nl/en/van-gogh-museum-x-pokemon

9月28日、オランダ・アムステルダムのゴッホ美術館はポケモンとのコラボレーション企画を開始しました。
本企画はゴッホ美術館の開館50周年を記念したもので、ポケモンの人気キャラクターのピカチュウやイーブイなどがゴッホの名作になぞらえて描かれた作品の展示や、さまざまなアクティビティが行われています。今回展示されているコラボレーション作品はポケモンカードゲーム公式イラストレーターである木村直代さん、こみやトモカズさん、sowsowさんの3名によって制作されたとのことです。

コラボ開始時にはグッズを求める人でミュージアムショップが溢れかえり、ゴッホの絵をたどりながらゴッホとポケモンに関するクイズに回答する「ポケモンアドベンチャー」では景品であるポケモンカードの配布を早期終了したことがニュースになるなど、世界規模でのポケモンの人気ぶりが垣間見えました。

こちらのコラボレーション作品は2024年1月7日まで展示予定とのことです。日本での展示やグッズの販売は未定ですが、国内のファンからは期待の声が集まっています。

AI

Adobe Creative Cloudに生成AI関連の新機能追加

https://blog.adobe.com/jp/publish/2023/10/11/cc-next-gen-of-creativity-powered-by-ai

2023年10月11日に開催されたAdobe MAXにて、Adobe Creative Cloudの最新バージョンが発表され、100以上の新機能が導入されました。中でもアドビ独自の次世代生成AI「Adobe Firefly」の大幅な改善と機能強化は注目を集めました。

また、AI関連の新機能として、シンプルなテキストプロンプトからベクターアートを生成する機能がAdobe Illustratorに導入されました。これまで生成した画像の色や形を編集するのは、Adobe Photoshopのようなピクセルベースの画像編集ソフトでしか実現できませんでした。しかし、AIによりベクターデータが生成できるようになったことで、デザインの自由度が高まり、色や形の編集がより柔軟にできるようになるでしょう。
さらに、Lightroomには写真の奥行きを認識してカメラレンズのぼかしを追加する「ぼかし(レンズ)」機能が導入され、レンズの種類に応じたボケ効果を選択できるようになりました。スマートフォンで撮影したボケ感の薄い写真でも、一眼レフで撮影したようなぼかしによる奥行きを表現することができそうです。

この他にも、Adobe Premiere Proの「文字起こしベースの編集」機能の強化や、Adobe After Effectsでの映像内のオブジェクトをすばやく分離するロトブラシ機能の精度向上など、AI技術を活用した様々な改善と新機能の追加が行われました。

このように、AIはデザインプロセスを効率化し、創造性を引き立てる大きな力となってきています。日常的なタスクにも進化したAI技術の力が加わることで、デザイナーやクリエイターがより多くの時間を本質的な課題の探索や、アイデアの実現に費やせるようになる、そんな未来が来たんだと感じられるような新機能発表でした。

画像生成AI「DALL・E 3」が話題に

https://openai.com/dall-e-3

「DALL・E3」はOpenAI社が開発した最新の画像生成AIです。2023年10月からChatGPT のPlusとEnterpriseの2つの有料プラン向けに提供が開始されており、特にMicrosoft BingのImage Creatorでは無料で利用できます。プロンプトのニュアンスを理解して、入力文章に忠実な画像を生成できるため、社内外で大きな話題になりました。

これまでの画像生成AIの多くは、ユーザーが意図する画像を生成するために、プロンプトに手を入れるなど、ある程度AIに歩み寄る工夫が必要でした。一方で「DALL・E3」では、内部的にChatGPTがユーザーの文章を理解して、画像生成のためのプロンプトを生成しています。これにより、ユーザーがプロンプトを学ぶ必要がなくなりました。また、前バージョンの「DALL・E2」よりも、描画されている対象の関係性が破綻しにくく、与えられた文章を正確に描写することができるようになりました。

デザインスタイルの方向性の発散や、ムードボードの作成といったデザインプロセスへの活用法、強力な支援ツールになりそうです。

LLMのロールプレイ能力を向上させるツール「Role LLM」

https://arxiv.org/abs/2310.00746

10月1日、MITやMetaの研究員らによるLLMを活用した生成AIのロールプレイング能力に関しての研究報告が論文公開サイトであるArXivに投稿されました。

本研究報告では、ロールプレイ能力を強化するためのフレームワークである「Role LLM」を紹介しています。従来のLLMでは、コンテキストのサイズが限られていたり、ファインチューニング(独自の情報を追加する手法)においても限界があったりと、ロールプレイには適していないとされていました。

Role LLMでは多くの脚本からキャラクターのプロファイルを構築し、キャラクター固有の情報を抽出するための質問と回答のペアをGPTを利用して生成した上で、キャラクターの話し方や性格を模倣するRole GPTという手法を利用して、ロールプレイ能力を向上させます。ロールプレイ能力が向上することによって、親しみやすいAIを活用したソフトウェアを展開することができます。例えば、サービスのオンボーディングやヘルプデスクでの体験の向上を図ることが可能になります。また、特にゲーム内におけるMOBとの相互のインタラクションが大幅に強化されることは新しいゲーム体験を生み出すことにつながると考えられます。

このようなフレームワークを活用してLLMを強化していくことによってなされる技術の進歩は、新しい体験につながる可能性を秘めており、技術とユーザーとを接続させていくデザイナーの力が試されていると感じるニュースでした。

 

以上、10月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

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