気がつけば11月も終わり、明日から12月に入りますね。段々と年末にかけて忙しさを感じるようになってきたのではないでしょうか。今月もGoodpatchで話題になったアプリケーションやサービスをご紹介します。

サービス

メルカリグループ初のクレジットカード、メルカード(mercard)が登場

https://about.mercari.com/press/news/articles/20221108_mercarifintechconference/

株式会社メルカリは2022年11月8日「メルカリ Fintech事業戦略発表会 2022」において、メルカリ・メルペイを通して利用できるクレジットカード「メルカード」を発表しました。

メルカリアプリで本人確認を完了していれば、最短1分で申込みが完了し、カード発行ができます。利用時の即時通知や利用履歴の確認等もアプリで完結し、支払日や支払い方法も柔軟に選択できるほか、メルカリの利用実績等を元に利用限度額や還元率が変化するなど、メルカリならではの与信の仕組みで新しい体験を提供しているのが印象的です。また、2023年春にはメルカリアプリからビットコインを誰もが簡単に購入できる機能を提供開始予定で、ますますメルカリが「価値が適切に循環する社会を実現するプラットフォーム」になることへの期待が膨らみます。

デザインプロジェクト「Featured Projects」始動

https://featuredprojects.jp/

2022年11月8日、「問いの探究」と「変容の触媒」を理念に掲げて活動するカタリスト・カンパニー、株式会社インクワイアはデザインプロジェクト「Featured Projects」を立ち上げました。

Featured Projectsは、“よいものづくりは、明日を拓く”をコンセプトに活動するデザインプロジェクトとのことです。グラフィックやプロダクト、IT企業を中心とするサービス開発、デザインシンキングなど様々な創造性を指す“ものづくり”に携わる人が作ったものが、より多くの人の目に触れさらなる創造の機会につながり、そうしたクリエイティブ内外での循環を目指している、としています。

また2023年4月にはトークセッション・ クリエイターズマーケット・展示・ミートアップなどの機能を統合したデザインフェスティバルを初開催するそうです。このデザインフェスティバルは『その場所、その瞬間に集まっているからこそ得られる価値』を来た人に味わってもらえるよう、実空間にこだわったものになるそうです。

ものづくりの垣根を越え、明日を切り拓くような出会いが生まれるようなコンテンツが今後どう紹介されていくのか楽しみです。

NTTドコモ、次世代ネット「Web3」に今後6000億円を投資と発表

https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/11/08_01.html

日本経済新聞の報道よると、NTTドコモは、次世代インターネット「Web3」関連事業に今後5-6年で6000億円規模の投資を行うと発表しました。従来の経済原理だけでは実現が難しかった課題解決や経済圏の形成を期待して、環境問題の解決や地方創生などに取り組みを発表しており、ドコモは長年運用してきた通信ネットワークに関する実績を活かし、社会全体の課題解決や経済圏の運営に関する知見を提供していくそうです。Astar Networkを手がけるStake Technologiesとの提携もすでに発表しており、日本発の会社がWeb3で世界を獲る姿勢を感じました。

弊社内でもWeb3は社会課題解決に繋がるという観点からこれからWeb3におけるUI/UXが注力されるだろうと注目しているデザイナーが多く、社内勉強会も立ち上がっています。これからの動向に注目です。

デザイン

デジタル庁、デザインシステムを誰でも閲覧可能に

https://www.digital.go.jp/policies/servicedesign/designsystem/

2022年11月11日、デジタル庁が行政サービス等の開発者向けに、Webサイトやアプリの一貫したデザインを支援する「デザインシステム」を公開しました。同庁は、デザインシステムの構築と推進の目的について以下のように発表しています。

より良い行政サービスの提供のためには、①誰もが利用できること(アクセシビリティ)②使いやすいこと(ユーザビリティ)の検討に多くの時間と労力が必要です。既存のサービスで利用され、使い勝手が検証されたデザインパーツやテンプレートを再利用することで、効率的なデザイン検討を実現します。効率化により、利用者の課題の理解やサービスの改善のための時間を増やすことがデザインシステムの目的です。

海外では、政府が公開しているデザインシステムによって、省庁だけでなく地方自治体のWebサイト等でもデザインの統一と効率化が測られている事例が多くあります。
デジタル庁が構築中のデザインシステムはFigmaCommunityで公開されており、誰でもコピーを利用することができます。現在コンポーネントの拡充や資料の改善を進めているとのことで、今後の進化に注目していきたいと思います。

パーソルキャリアが「高度デザイン人材のキャリアオーナーシップの獲得要因」レポート公開

https://nution.persol-career.co.jp/stories/20221028/

パーソルキャリアが「高度デザイン人材のキャリアオーナーシップの獲得要因」レポートを公開しました。同社では「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」をミッションに掲げ、「キャリアオーナーシップ」を育む社会の創造を目指す取り組みを行っています。今回はデザイナーのよりよいキャリアを後押し、活躍するフィールドを広げることを目的としたプロジェクトの第一弾となります。当レポートは8名のインタビューそれぞれのキャリアにおいてどのような分岐点があったのか、また分岐点でのどのような選択が「キャリアオーナーシップ」の獲得や醸成につながったのか、計100の経験談が記載されています。著名なCDO、CEOたちのエピソードからデザインする人にとってどのようなことが「点」と成りうるのかが詳しく分かるような内容になっています。また、一人一人のエピソードを集約し、時系列順での行動や環境要因をまとめたものなども記載されています。

デザインに携わる人にとって、非常に見応えのある本レポートは、 Facebookページにて今後全5回にて公開が予定されています。今後の内容も非常に気になりますね。

デザインシステムについて学べるWebサイト、Set up a design systemが公開

https://thedesignsystem.guide/

デジタル庁に引き続き、こちらもデザインシステム関連のトピックです。

2022年11月9日、デザインシステムについて体系的に学べるWebサイト、Set up a design systemがスロベニアのデザイナーであるRomina Kavčičによって公開されました。このWebサイトの公開にあたり、Twitterでは海外のUI/UXデザイナーを中心に話題となりました。

Set up a design systemでは、デザイントークンや設計指標についての実践的なヒントとして、設計する際のコツやチェックリスト、推奨ツールが記載されているだけでなく、デザインシステムの基礎や効果などについても講義形式で無料で公開されています。

昨今の日本では、企業だけでなくデジタル庁がデザインシステムを公開したり、Figmaが大規模のデザインシステムカンファレンスを東京で開催するなどと、ソフトウェアデザインの領域において、デザインシステムという言葉について見聞きする機会が以前に比べて多くなりました。それに伴いデザインシステムを構築したいという組織のニーズも高まりつつあります。

一方、デザインシステムには標準の定義がなく、文脈によって構成する要素や求められる完成度が異なります。言葉が一人歩きしてしまわぬよう、Set up a design systemなどを参考に今一度デザインシステムについて組織で目線合わせしてみてはいかがでしょうか。

DeNAが九州大学大学院で「UI/UXデザインクラス」を開講

https://note.com/denadesign/n/nb6353968a0df

DeNAデザイン本部が九州大学 大学院芸術工学府 ストラテジックデザインコースにて、「UI/UXデザインクラス」を開講しました。

記事によると、DeNAデザイン本部ではUI/UXと芸術工学分野における親和性の高さから、九州大学 大学院芸術工学府にて、2017年から毎年「1dayワークショップ」を開催していたそうです。計4回の「1dayワークショップ」を経て、より密度の濃い講義をできればという思いに行き着いたことから、今回の全8回に渡る「UI/UXデザインクラス」の開催をDeNAから提案し実現に至ったそうです。

講義内容は、ユーザーインタビューを施してユーザー課題を抽出し、サービス体験を企画するUXフェーズを学んだ後、それをインターフェースとして具現化するUIフェーズといった現場での制作過程に準じた流れになっています。、講義目標としては、ポートフォリオの制作のみならず、今後UI/UXを独学していけるような状態をスキルセットとマインドセットの両面で構築することだそうです。

経済産業省による「デザイン経営」宣言で、高度デザイン人材の育成にあたって芸術系大学での産学連携プロジェクトの実施の重要性が提唱されているように、今回のDeNAと九州大学 大学院芸術工学府の取り組みは社会的意義のある取り組みだと言えるではないでしょうか。

トレンド

画像生成AIのMidjourneyが新バージョンをテスト公開

https://www.midjourney.com/

2022年11月5日、画像生成AI「Midjourney」の新しいバージョン(V4)がテスト公開されました。使用したユーザーからは「簡単すぎる」「アプリのUIデザインまでできる」といった声が寄せられています。

Midjourneyは、入力した文章(プロンプト)に沿った画像を自動生成してくれるサービスです。従来、同種のAIでは、高品質な画像を生成するために高度なプロンプトを長文で入力する必要がありました。それに対し、Midjourney V4では一般ユーザーでも理解できる簡潔なプロンプトで画像生成を行うことができます。

Midjourneyの創業者デビッド・ホルツ氏によれば「V4はまったく新しいコードベースであり、まったく新しいAIアーキテクチャ」とDiscordコミュニティにてアナウンスしています。

V4モデルのテストではV3よりもはるかに多くの詳細情報が提供され、AIによるプロンプトの理解が深まり、生成画像のシーンの構成が改善されているとのことです。
AIアートが画像制作・デザイン業界に与える影響に注目しつつ、V4の正式リリースを楽しみにしたいと思います。

以上、11月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

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