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Client
株式会社DUMSCO
Expertise
Digital Product & Service Design
Date

Overview

「ハカルテ」は、株式会社DUMSCOと京都大学医学部附属病院産科婦人科で共同研究・開発されている婦人科がんヘルスケアアプリです。婦人科がんの治療で定期的に通院する患者さんが、日常生活中の体調やライフログを記録し、医師や看護師が記録をモニターすることで、治療期間中の患者さんのQOL向上を目指しています。

Goodpatchは「ハカルテ」のiOS・Androidアプリケーション開発におけるユーザーリサーチ、UIデザイン、開発ディレクションを担当しました。京都大学医学部附属病院 山口 建 先生、東山 希実 先生と連携しながら、医療現場で実践したユーザー起点の開発プロセスを紹介します。

Summary

クライアントのニーズ

  • ユーザーが持つ課題を明らかにしたい
  • 素早くMVP(Minimum Viable Product)をリリースして検証、改善を重ねたい
     

Goodpatchの対応 

  • ユーザーリサーチ〜開発〜リリース後改善までのMVP開発に一貫して並走
  • 患者さん、医師へのインタビューなどリサーチを経てサービスコンセプトを設計
  • ユーザーがサービスを使用する一連のユースケースを元に開発仕様書を作成し、外部開発会社とのスムーズな開発を実現
  • 医療現場でのアプリ導入設計や大規模研究に向けた準備を包括的に支援

今後の構想や現時点での成果 

  • 法制約が多いヘルスケアアプリのリサーチ〜UIデザイン〜開発〜α版リリースまでを6ヶ月で実行
  • 従来のアプリと比較して入力継続率が高く、患者さんの83%以上が継続記録率を70%以上で維持
  • α版リリース後の改善が2023年頭に完了予定

依頼背景とプロジェクトプラン

「ハカルテ」を利用するのは婦人科がんを治療中の患者さんです。
サービスの根幹となる技術(スマートフォンのカメラを用いたストレス測定アプリ「ANBAI」を活用したもの)はあるものの、患者さんが抱えている課題や、日常生活・状況を把握しきれていないという課題がありました。DUMSCOの社員が男性のみなので、婦人科がん患者さんへのヒアリングもなかなか実施できずにいたそうです。

また、DUMSCOと共同研究をしている京都大学医学部附属病院 山口 建 先生、東山 希実 先生によると、問診をしてから次回の問診までの2〜4週間、患者さんがどのような生活、課題を持っているのか、詳細までは把握しきれていないといいます。

そこでGoodpatchには、患者さんが抱える課題リサーチとサービスコンセプトの定義、プロトタイプ作成、MVPとしてリリースするα版アプリの体験設計・UIデザインなどをご依頼いただきました。

医療現場でユーザー起点のサービス開発プロセスを実践

医療機関と企業の共同研究でつくられる医療サービスの多くは、定量的な研究結果に基づきますが、「ハカルテ」の開発ではユーザー起点のサービス開発にこだわりました。

Goodpatchでは、がん治療の中でも「問診」「記録」「QOL」について患者さんと医師の双方にインタビューを実施。それぞれの声をグループ化し、患者さんと医師が抱える課題を1つの図にまとめて整理しました。課題の構造を明らかにすることで「ハカルテ」が解決する課題や解決方法のアイディア発散に役立てることができました。

インタビュー結果の構造化は、医師が感じていた違和感や課題とも共通していたそうです。患者さんへのインタビューから導き出された課題を「医師と患者さんのコミュニケーション」「副作用や体調の記録」「QOL」の3軸に分類し、「婦人科がん治療中の不安や不調を改善しQOLを向上させ、前向きな治療生活をサポートする」というサービスコンセプトを提案しました。

開発スピードを落とさずに独自性を作るためのUI/ビジュアルデザイン

本プロジェクトは短期間でMVPを開発し、患者さんに実際に使ってもらうことで検証・改善を重ねることが目的でした。プロトタイプ作成から約1週間でユーザーテストを実施した段階で、その後 MVPのUIデザイン〜実装〜リリースまでを6ヶ月で完遂しています。

スムーズに実装するため、画面単位ではなく「概念モデル」を用いてサービス全体の情報を整理したことで、将来起こり得る機能追加などの拡張性も踏まえたUIデザインを実現。
今後のOSアップデートに耐えうるように、iOSとAndroidそれぞれのOSに最適化したガイドラインを策定し、エンジニアが開発しやすい状態を作ることも心がけました。

インタビューから導き出した「婦人科がん治療中の不安や不調を改善しQOLを向上させ、前向きな治療生活をサポートする」というサービスコンセプトをもとに、ロゴデザインも担当しました。約50人にビジュアル印象調査をおこない、最終的に「寄り添い」を表現したこちらのロゴが採用されました。

また、開発スピードを落とさず少しでも日常的に使うアプリに愛着をもってもらうために、特に良い体験にしたいホーム画面や記録モードは、MVPの段階からビジュアル表現にも力を入れました。

MVPの一部でビジュアル表現に注力したことで、実際に使ってくれた患者さんからも「色が綺麗でわかりやすい。ホーム画面が切り替わったりするしかけも楽しく感じる。」とポジティブな反応をもらうことができました。リリース後のブラッシュアップ段階ではさらに「アプリに愛着をもってもらう仕掛け作り」にこだわり、毎日の記録サジェストのイラストが切り替わるなどのアイディアを追加しています。

開発会社との連携

MVPのUIデザイン実装・リリースは、DUMSCOのエンジニア4名にお願いしました。
実装時の抜け漏れや手戻りを防ぐため、Goodpatchでは以下を用意しました。

  • サービスの概要や提供価値、ターゲットをまとめた企画書
  • 開発期間、開発するプロダクト、開発ツールなどの概要
  • FigmaによるUI画面のデザインデータ
  • ユーザー体験を軸にした開発仕様書

MVPの実装・リリースを手戻りなく素早く進めるために、特に有効だったのが、ユーザー体験を軸にした開発仕様書である「UI Spec」です。
エンジニアからは「ユースケースや提供価値など、なぜそのようなデザインや設計になっているかがはっきりしているので、プロジェクト全体で迷いが少ない」という声もあがり、スピーディーにMVP開発を進めることができました。

関連記事:
ユーザー体験を軸とした開発仕様書「UI Spec」とは
素早く作って素早くリリース!MVP開発をスムーズに進めるポイント

また、通常は外部に委託することが多いQAテストのシナリオ作成〜実施までをGoodpatchのデザイナーと外部エンジニアが共同でおこなったことで、MVPの最終的なクオリティを担保することができました。

医療現場へのスムーズな導入を支援

開発者であるDUMSCOやGoodpatchが直接介在せずとも、患者さんと医師が「ハカルテ」をスムーズに利用できる状態を目指し、医師を対象とした管理者画面の設計・開発のサポートを実施しました。検証期間中は実際に患者さんのデータを医師側が確認できる状態を実現し、管理者画面を通して医師側の体験向上にも努めています。

上記の管理者画面導入にあたっては、オンボーディング資料やヘルプページ設計を行い、医師側にスムーズなインプットをしてもらえるようにしました。

また、患者さん・医師それぞれが「ハカルテ」を導入して利用するまでの体験設計をおこない、患者さんには、パンフレットを配布しました。このパンフレットは医師にも配布され、「ハカルテ」の取り組みが広がっていくきっかけとなりました。

これらのサポートにより、医師から患者さんへの説明もスムーズに行われ、機能のポイントをきちんと伝えることができました。Goodpatchが院内での認知拡大を支援したことや、医師と患者さんのコミュニケーションのサポートに入ったこともあり、ご利用いただいた患者さんの83%以上が継続記録率を70%以上に維持し、中には毎日記録される方たちもいるという結果を残すことができました。

クライアントの声

現在もDUMSCOとGoodpatchでは、リリース後検証を経た改善版の開発に取り組んでいます。ここまでのプロジェクトを振り返って、DUMSCO 代表取締役の西池さんからは次のようなお言葉をいただきました。

Goodpatchのみなさんからは、婦人科がん患者のQOL向上というテーマへの熱量を持ってくれていることが伝わってきて嬉しかったです。熱量を持ちながらも、いいサービスを作ることにこだわり、患者さんがどの機能をどれくらい使っているかなど、細かいデータまで全て見てくれていることも助かっています。

Credit

UXデザイナー: 児玉 彩、水野 有稀、天野 麻由
UIデザイナー: 山下 由希、矢吹 ナスカ
エンジニア: 上垣 康二
イラストレーター:児玉 千尋
クオリティマネージャー:中根 美香、栃尾 行美

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