Goodpatchのクライアントワークでは、サービスデザインのプロセスで、クライアントと一緒にワークショップを行うことがあります。
その目的は、ペルソナ・カスタマージャーニー作成、コンセプト設計はもちろん、チームのビジョンを決めるためなど、多岐に渡ります。

みなさんがワークショップを成功させるために意識しているポイントはありますか?
ワークショップの成功のカギはメンバーが自由に意見しやすい環境を作り、議論を活発にすること。でもワークショップに慣れていない参加者は何をすれば良いか分からなかったり、発言を躊躇してしまうことがよくあります。

そこで今回は、ワークショップが初めての人もリラックスして参加してもらうために大切な5つのポイントについてご紹介します!

1.基本ルールを説明する

ワークショップにおける基本的なルールを伝えましょう。以下の3つは必ず入れておくと良いと思います。

  1. 否定しない
    現実的な制約にとらわれたり、正解を出そうとする必要がないことが分かり、参加者は安心します。
  2. 便乗歓迎
    インタラクティブなコミュニケーションは意見を出しやすくします。
  3. 質より量
    優先順位をつけたり意見を掛け合わせるなどがしやすくなるため、意見をたくさん出す方が良いと認識してもらいます。

こうしたルールを紙に書き、ワークショップ中、全員が見えるところに貼っておくとさらに効果的です。

当たり前だと思われがちですが、改めて伝えておかないと、自分も含めて忘れてしまいます。
普段よりもカジュアルな雰囲気で参加できるものだと明確に印象づけることで、自分の中でくだらないと決めつけて意見を引っ込めてしまうことを避けることができます。

2.目的とネクストアクションを最初に伝える

ワークショップは手段であり、目的ではありません。特に、未経験の参加者が多い場合は、実施する目的と、今後の流れについて最初に伝えることが大切です。

最終的なゴールだけでなく、ワークショップで出たアウトプットをどのように加工するかも伝えましょう。
例えば、ワークショップで出てきたキーワードをそのまま使うのではなく一旦グルーピング(=加工)し、サービスのコンセプトを作成する(=最終ゴール)といった具合です。

目的とネクストアクションを事前に伝えることで、参加者は「なぜワークショップをするんだろう」「間違っていたらどんな影響があるのだろう・・・」と思うことなく参加することができます。

3.ワークショップのタスクを細かく切る

一つひとつのタスクを具体的に・シンプルに設定しましょう。

例えば、「ECサイトで買い物をする」というテーマでカスタマージャーニーマップを作成するとします。

この時いきなり「ユーザーの行動を書き出してください」というタスクがあると、参加者にとっては粒度が大きく、戸惑ってしまいます。
そこで、ユーザーの行動の時間軸を、ECサイトを知るまでの行動/ECサイト利用中の行動/ECサイトを利用した後の行動などで分けることで、参加者はユーザーについてよりイメージがしやすくなります。

こうすることで全てのタスクを終えるのに時間がかかるかもしれませんが、参加者は迷わずにタスクを進めることができます。

4.最初のタスクは簡単なものにする

ワークショップの最初のタスクは、参加者がウォーミングアップできるクローズドクエスチョンから始めましょう。

例えば「このサービスを使うユーザーはどんな性格の人でしょう」という質問よりは「このサービスを使うユーザーの年齢は何歳くらいでしょう」と聞く方が、素早く、気をはらずに発言できます。
また、自己紹介など簡単なアイスブレイクから始めることも効果的です。

一つタスクを進めるごとに慣れてくるはずです。簡単なタスクから始めることで、参加者が最も緊張している状態をほぐすことができます。

5.呼び水となる例を準備しておく

ワークショップ中、あまり意見が出ない状況が発生することもあります。その場合は、ファシリテーターや主催者サイドから具体例を挙げてみましょう。
具体例が挙げやすいように、事前に自分で模擬的なワークショップをやってみて、出てきたキーワードをメモしておくと良いです。

最初は意見が挙がりにくい空気でも、何か一つアイデアや意見が出ることで参加者も触発され、発言が増えていくはずです。

結び

以上、ワークショップを行う際に私が実践している方法をご紹介しました。
参加者が発言しやすく、リラックスできる雰囲気をつくることは、ワークショップを盛り上げ、たくさんの発言やアイデアを引き出す上でとても重要なことです。
特にワークショップに慣れていない方が参加する場合は、上記のようなポイントを意識することが大切だと思います。

ここには挙げませんでしたが、お菓子とドリンク、音楽の準備は忘れずに、参加者を楽しませるマインドでやってみてくださいね!

Goodpatch Blogでは、サービスデザインにおいて欠かせないクライアントへのインタビューのやり方や、サービスのユーザー体験を向上させるための具体的な方法についてもご紹介しています。
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