Baltoインタビュー vol. 3

株式会社Wondershake
開発部エンジニア
藤井 達也 さん

株式会社Wondershake(ワンダーシェイク)様は、あこがれのライフスタイルを提案するメディア『LOCARI』をメインに、ウェブサービスを提供しています。現在Baltoは、DIYの共有レシピサービス『Creon』のアプリ開発にご利用いただいております。今回は、Baltoの活用方法や導入前後で変化したことなどを伺いました。

Baltoは、本日2018年1月31日 17:00をもちましてサービスを終了させていただきました。これまでBaltoをご愛用いただき本当にありがとうございました。

フィードバックツール「Balto」サービス終了のお知らせ

テスト配信ツールを探してBaltoに出会った

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──まずは、藤井さんの役割や関わっているプロジェクトについて教えてください。

藤井 弊社では『LOCARI』というメディア事業を主力でやっています。昨年から新規事業をいくつか立ち上げていて、その中でDIY*レシピの共有サービスを始め、エンジニアとして働いています。最初は私しかエンジニアがいなかったので、iOS・Android・Web・サーバーと広く関わっていました。

DIY*・・・専門業者ではない人が自身で何かを作ったり、修繕したりすること。英語のDo It Yourselfの略語で、「自身でやる」の意。DIY – Wikipedia より)

──すごいですね!どういったサービスなのでしょうか?

藤井 DIYの作り方を紹介しているメディアです。これまでも『LOCARI』でDIYに関する記事を発信していて、PVがかなり伸びていました。

ただ、DIYを試したくても完成した写真だけ見て作るのも大変でした。「DIYをやってみたい」と思っている人へ向けて、材料や道具、手順をステップ・バイ・ステップで詳しく紹介するサービスがあればと思い、立ち上げました。

──ローンチ後の反応はいかがでしょう?

藤井 簡単にできるDIY、例えば100均で材料を揃えられるものはかなり人気ですね。とはいえ、DIYを試してみたいと思っている人は多いけど実際に試すまでのハードル高いようです。現状はDIYがどれくらいの難しさだったら実際に試してくれるのか、コンテンツの発信をしながらユーザーに刺さるレベル感を探っている状況です。

──Baltoを導入しようと思ったきっかけを教えてください。

藤井 元々、社内メンバーに対してのテスト配信ツールを探しており、実際にいくつかのツールを試していました。今はどれも使っていないのですが。

そんな中たまたま出会ったグッドパッチさんがBaltoの開発をされていると聞き、おもしろそうだと思って使い始めたのがきっかけですね。

──サービスの中でBaltoはどのようにご活用いただいたのでしょうか?

藤井 iOS・Androidアプリを、社内向けにテスト配信するときに使っていますね。配信する対象は新規事業チームがメインですが、それ以外の社内メンバーにも配信していました。チーム内にはDIYに詳しい人がいなかったので、DIYが好きなユーザー像に近い人たちを社内で集めてチーム外のメンバーにも配信していました。

──具体的にBaltoをご活用いただいている方の役職を教えてください。

藤井 私ともう一人のエンジニアがiOS・Androidアプリを配信しています。フィードバックをお願いしているのはエンジニア、デザイナー、マネージャーの人たち。彼らからフィードバックをもらっています。

──役職によってフィードバックの違いはありましたか?

藤井 ありますね。エンジニアからは、ボタンを押してもうまく動作しないなどの不具合に関するフィードバックが多いです。デザイナーからは、パーツの色に対する指摘やボタンの位置のズレ、アニメーションや画面遷移などの見た目に関するフィードバックがメインです。

そしてマネージャーからは、そもそもこの項目を載せるべきか?といった仕様に関わるフィードバックが多いです。

Baltoを導入して煩わしさが解消されたフィードバック作業

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──実装後の仕様変更やユーザー体験の改善はありましたでしょうか?

藤井 そうですね。私たちはDIYに詳しかったわけじゃなくDIYのことを勉強しながら作っていったので、実装して触ってみてからこの機能が必要かどうかの判断をしていました。

──ということは、以前からフィードバックをし合う文化があったということなんですね。

藤井 はい。Baltoを導入してから以前よりもフィードバックがもらいやすくなりましたね。

──今まではどういったツールを使ってフィードバックを管理されていたのでしょうか?

藤井 フィードバック専用のツールを使っていたわけではなく、Slackでフィードバックのやり取りをする専用のチャンネルを用意して、テスト版アプリを触ってもらった社内のメンバーに書いてもらっていました。そこで得たフィードバックを定期的に拾っていき、ExcelにToDoとして落とし込んでいました。

──以前のフィードバック管理方法でやりづらかったことは具体的にどのようなことがありましたか?

藤井 細かくて具体的なフィードバックから「落ちる」といったざっくりとしたものまで、フィードバックの粒度に差がありました。後者の場合だと時間を取って細かく聞いていかないといけなかったんですよね。

あとは、同じ箇所に関するフィードバックをもらうことも多かったです。気付きやすいところだとフィードバックが被るので、全体的に二度手間感がありました。

──Baltoを導入してスムーズになったことはありましたか?

藤井 今までは口頭やSlackでもらったフィードバックを手動でエクセルに入力していたのですが、Baltoを使い始めてから自動化されて楽になりました特にフィードバックを受け取る側としてはわかりやすくなりましたね。

というのも、これまでは「ここの画面のここがおかしいです」「ここが1pxずれています」と文章でもらっていたのですが、「ここ」がどの箇所を指しているかわからなかったり1pxがどの方向にずれているか不明瞭だったりと、文章だけではわかりづらかったんです。なので「ここがおかしいっていうのは、どういう意味ですか?」と確認をしなければならないのが煩わしかった。

Baltoであれば、指摘箇所に目印をつけたスクリーンショットを送れます。すると指摘箇所とその意味がすぐにわかるため、認識の齟齬を埋めるための確認作業が不要になりました

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(Webダッシュボードからフィードバックを確認)

──具体的にどのようなシーンでBaltoを使って配信をされたのでしょうか?フィードバックを送るタイミングや使い方の特徴を教えてください。

藤井 ある程度開発した後、アプリのリリース前に配信することが多かったです。

社内向けにテスト配信してフィードバックをもらい、修正したり機能追加したりしてまたフィードバックをお願いしてと。そのサイクルを1, 2日で回していました。

リリース前になってから直したいところがたくさん上がってくるので、Baltoは毎日使っていますね。

Baltoのフィードバックでサービスをジブンゴト化する人が増えた

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──Balto導入前後でプロジェクトメンバーに変化はありましたか?

藤井 フィードバックをより多く送るようになってから、サービスをジブンゴトとして捉えるようになる人が増えました。Slackで送ってもらっていたときにはそのフィードバックによって何がどう変わったのかまで把握できていませんでした。ですがBaltoだと、フィードバックを軸に双方向なコミュニケーションが生まれるので、自分がフィードバックを送った箇所が修正された姿を把握できます。すると自分がサービスをより良くしたという貢献の気持ちを持てるじゃないですか。

そうやって一人ひとりがサービスの品質向上に携わっているという意識が芽生えてきているように感じます。

──ジブンゴト化する人が増えることによって、サービスはどのように変わっていくと思いますか?

藤井 意識だけでは変わらないこともあると思いますけど、巻き込む人が多ければ多いほど的を射た良い意見を取りやすくなりますよね。そうすれば、自然とサービスはより良い方向へ進んでいくんじゃないかと思います。

──Baltoを導入してから解消できた課題や得られた効果はありましたか?

藤井 やはりフィードバックの送り合いを効率化できたこと、そしてフィードバックのリテラシーが上がり続けていることですね。

以前よりも細かい点に対してのフィードバックができるようになっています。これまでは言葉で説明しづらい箇所について取りこぼしてしまうこともあったのですが、アニメーション・画面遷移の違和感を動画で伝えられるのはこれまでになかった部分なので、かなり良かったです。

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(実機から直接スクリーンショットを撮影し、コメントと合わせてフィードバック)

開発中盤〜リリース直前の段階こそ、Baltoが活躍!

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──Baltoが活躍しそうな具体的なシーンとは、どのような時でしょうか?

藤井 ある程度、プロトタイプができていて、かつリリースはまだしていないタイミングの状態ですね。なぜならそのフェーズが一番グロースさせられる時だからです。

開発を始めてから長い間サービスに向き合ってきているので、開発中盤〜リリース前まで開発が進んだ段階で開発メンバーから新しい発見が出ることはあまり多くないんです。けれど、チーム外のメンバーにテストしてもらうことで初めて気づけるところは結構あります。やはり、第三者から見た客観的な視点があるからですね。加えて、開発段階で考えた仮説が社内テストをすることで証明されることもあります。

──今回、Baltoを実際のプロジェクトで使ってみた感想をいただけますでしょうか?

藤井 いまの価格帯であれば、課金する価値があるなと思っています。社内からの需要もありますし機能面で大きな不満はないので、今後も使っていきたいです。

──ちなみに、Wondershakeさんのワークフローの中で、こういった機能があったら良いな、といったご要望はありますでしょうか?

藤井 強いて言うなら、テクノロジーに詳しくなかったり、英語が得意ではない人やITリテラシーが高くない人でも使ってもらえるサービスになったらすごいと思います。

今後エンドユーザーに対してのインタビューを実施していくフェーズが訪れた際に、Baltoを使ってフィードバックしてもらうのは難しいなと感じています。他の配信ツールでもそうですが、Webサービスをあまり使ったことがない人にとっては障壁が高いですね。

──ありがとうございます!それでは最後に、今後こういう風にBaltoを使っていきたいといったアイデアはありますか?

藤井 今はDIYのレシピ共有サービスでしか使っていませんが、今後新規事業を仕掛けていくときにも使っていきたいですね。