医療・選挙・HR・ファッション。UXデザインを用いて問題解決した実例集

2018年5月に経済産業省・特許庁から「「デザイン経営」宣言」が発表され、ビジネスの現場においてデザインの重要性が注目されています。その中でも、「UXデザイン」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。UXデザインとはオンライン・オフラインを通じてユーザーの体験をデザイン(設計・企画)することです。「体験」が量産・再生産される仕組みを作ることも指します。具体的には、ユーザーにとって「また使ってみたい」「分かりやすい」「楽しい」と感じるプロダクト・サービスの設計や仕組みのことです。では、ユーザーが心地良いと感じる物を提供し、ビジネスを成功させるにはどのようにしたらいいのでしょうか。

今回は様々な領域でユーザー体験を向上させたデザインやGoodpatchの過去の実例をアプリケーションやサービス、プロダクトなど多様な面からご紹介します。

スマホアプリを超えて、サービスデザインも提案したオンライン診療サービス

https://curon.co/
いつでもどこでもスマホから診察・処方が受けられるアプリcuronでは患者と医者、双方に新しい体験を提供しています。患者さんは自宅にいながら、医師は診察室にいながらオンラインで問診、診察、決済が可能です。今回はGoodpatchがお手伝いしたcuronのデザインリニューアルをご紹介します。アプリのデザインリニューアルだけでは解決できない課題に対して、アプリを超えたサービスデザインも提案したのが今回のプロジェクトでした。

まず、チームメンバーはユーザーがどのようにcuronを利用しているのか、デザインスプリントを実践して体験の質に関わっている課題を可視化しました。課題としてあげられたのが、「医療機関から患者さんにcuronを進める際にうまくサービス内容を伝えることができず、ダウンロードに繋がらない」ことでした。実際に医師が患者さんにcuronの説明をしている様子を観察したところ、医師の説明が患者さんのサービス認知に直結することを確信。そこで「医師が患者さんにサービス内容を伝えやすいパンフレットの作成」を実施しました。アプリケーションのデザインだけに止まらず、利用する患者がサービスを「分かりやすい」と感じる新しいUXデザインを提供しました。

curonのデザインプロセスの詳しいリニューアルについては、ぜひこちらの記事をご覧ください。

紙からアプリまで。スマホが診察室になる『curon』のサービスデザインの裏側に迫る

また、Goodpatch Blogでは医療とデザインが交じり合う、“Patient Experience”(邦訳:患者エクスペリエンス)をご紹介しました。「ケアプロセスを通じて、患者が経験する事象」と定義されるPXの詳しい概要・実例や、海外の医療とデザインについてはこれらの記事を参考にしてください。

医療×ITで患者の体験をデザイン。医療の質を定量的に評価する「PX」を紐解く

医療問題をデザインで解決。ロンドンの病院内にあるHELIX Centreとは?

英語が話せなくても・目が見えなくても・車椅子でも。誰でも使える選挙デバイス

https://www.ideo.com/case-study/a-new-way-to-vote-for-the-people-of-los-angeles
日本の選挙には代理投票や点字投票など様々な選挙人のニーズに合わせた選挙方法があります。アメリカでは選挙の体験、”Voting Experience” を新しく再設計すべく、とロサンゼルス州とデザインファームのIDEOが提携しました。誰でも平等に、選挙に親しみをもち、機能性と使いやすやのバランスがとれ、何年も使い続けられるようなプロダクトを目指して開発がスタート。そして提案されたのが、上記の写真の選挙デバイスプロトタイプです。このデバイスでは、使う人にあったユーザー体験を自由にカスタマイズできます。目が見えない人・車椅子の人・最新のテクノロジーに疎い人・英語が話せない人、誰でも使える選挙デバイスです。携帯からも投票できる仕組みも検討しています。

このプロジェクトは、2020年までにロサンゼルス市で実施予定になっています。
選挙は国民の意思を政府に伝えられる大事な権利の一つです。その権利を誰もが平等に体験できるデバイスは完成が待ち遠しいですね。

靴ズレの悩みを解決。3Dスキャナーで自分の足にぴったりな靴を

https://flicfit.com/
パンプスを買ったけど履いてみたら足のサイズに合わず靴擦れしてしまった、と悩んだことはありませんか?
独自の高性能3Dスキャナーで、自分の足にピッタリなパンプスを提供するFlicfitではその悩みを解決しています。GoodpatchはFlicfitさんのパートナーとして、「最高の靴選び体験」を追及しました。

靴が好きなユーザーの悩みを解決するために、まず様々な職種・年代・悩みをもつ人からユーザーヒアリングを行い、課題を抽出しました。さらに、「靴を買う」という体験は、実際に店舗に行き買うまでが一連の流れなためリアル店舗での価値検証も行いました。UIに閉じないリアル店舗でのUXデザインを検証するために、小説形式のストーリーを作成し、ユーザーテストでは共感できるところ・できないところを抽出しました。
Flicfitは、3Dフットスキャナーに足をのせ、わずか10秒で両足をスキャンし計測結果が瞬時にiPadへ送信されます。計測結果独自開発のマッチングアルゴリズムを活用することで、ユーザーにぴったりの一足を瞬時にレコメンドすることが可能に。高性能な3Dフットスキャナーと3Dデータにより、新しい購買体験を提供することができました。

スタートアップ支援プロジェクトとして並走したFlicfitさんとの詳しいデザインプロセスはこちらで紹介しています。キックオフからペルソナマッピング、カスタマージャーニーマップ やプロトタイピングまで一連のプロジェクトの概要を掲載しているので、一通りのデザインプロセスの流れを知りたい方におすすめです!

スタートアップのデザイン支援がスタート!デザインプロセスを紹介します Part1

スタートアップのデザイン支援がスタート!デザインプロセスを紹介します Part2

スタートアップのデザイン支援がスタート!デザインプロセスを紹介します Part3

スタートアップのデザイン支援がスタート!デザインプロセスを紹介します Part4

最短1時間でオーガニック食品が配送されるアプリ

http://vegeryorganics.com/
「健康的な食事に気をつけたいが、オーガニックスーパーが近くになく、新鮮な野菜が買えない。」
この悩みを解決したサービスがVEGERYです。VEGERYは、九州産オーガニック野菜を中心とした生鮮食品新鮮のデリバリーサービス。化学肥料不使用・農薬不使用の新鮮な野菜や果物を190品からアプリで購入することができます。Goodpatchは、スマートフォンで手軽に注文できるコンセプトメイキングからアプリのUIデザイン、アプリ開発をお手伝いしました。

ユーザーインタビューとクライアントさんへのインタビューの結果、配達時間の長さに課題があることを発見。日本ではコンビニエンスストアがどこにでもあって便利ですが、いざ都内で新鮮な野菜を買うにもなかなか見つかりません。宅配サービスを利用してもさらに時間がかかってしまいます。そこで、VEGERYでは最短1時間での配達を実現し、ユーザーが欲しい時に新鮮でオーガニックな食材を届けます。またアプリのUIは、農家さんとの会話から感じた「暖かさ」を伝えるデザインを提案しました。そして商品の詳細ページでは農家さんの顔だけでなく食材への「想い」も綴られています。このように、VEGERYでは農家さんのリアルな声を暖かさを元にコンセプトメイキングをしました。

自分の好みの味、温度を設定できる浄水器

https://mitte.co/
Mitteとは、ユーザーが求める味に調整し、通常のフィルターより60倍水をきれいにできる浄水器です。GoodpatchのベルリンチームはIoTプロダクトの体験を向上させるアプリケーションを開発のお手伝いをしました。ユーザーヒアリングを行ったところ、自分の好みにカスタマイズできることと、自身の健康と食生活の改善、カートリッジの自動宅配サービスに需要があるということが分かりました。そこで、Mitteでは好みの温度、好みの味でユーザーはコーヒーや紅茶など独自のレシピをカスタマイズできるようにしました。

写真のように、実際のハードウェアはメニュー画面が無く、シンプルな設計になっています。ディスプレイを無くしシンプルでミニマルなプロダクトデザインにするために、アプリケーションでレシピの設定やメンテナンスなどの機能を取り入れました。ハードウェアとアプリケーション、二つの組み合わせから環境と健康に優しいUXデザインです。

今までにない新しいリクルートメント体験でブランド認知度向上

https://www.designit.com/work/show-us-your-talent
ファッション会社のZARAを親会社とするInditexとデザインコンサルティングファームのDesignitが提携し、今までにないなリクルートメント体験を生み出しました。まずは、こちらのビデオをご覧ください

これは360度から新しい体験ができる密室のブース、SUYT(Show Us Your Talent 、邦訳:あなたの才能を見せて)です。このブースの中では、タブレットとそれに対応するペンがありファッションデザイナーたちが自分たちのクリエイティブを制作することができます。ファッションデザイナーたちの採用に関する調査結果から、ミレニアル世代は自ら触って、見て、聞いて感じることができる体験設計が特に好まれることが分かりました。今後テクノロジーがより進化してデジタルでの体験も進化する一方で、物理的な空間での体験がもっとも印象に残り、効果的とのことです。中に入ると自分専用のスタジオにいるような、心地よい室内の色・音楽・ライトの色を設定することができます。今までにない、新しい空間での制作体験を味わえるのです。

SUYTプロジェクトは、バルセロナ、ミラン、ロンドン、パリで行われ多くのニュースやメディアに取り上げられブランド認知度を大いに上げることができました。この結果、就職志望者たちのレベルも大幅に上がったそうです。かつてない斬新で新しいユーザー体験を提供し、社会的なインパクトを与えブランド認知度をあげた一つの例です。

おわりに

現在、様々な領域でUXデザインが注目されています。UXやフィールドリサーチ・コンサルティングといった、よりビジネスの上流へ踏み込むことへの意義や重要性をもっと知りたいかたは、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

UXデザインへの理解を深める〜これからのデザイナーがすべきこと〜

また、ビジネスで注目されている「デザイン思考」を初心者向けに解説した記事も掲載しております。デザインについて初めて勉強するかたはこちらも参考にしてみてください。

【初心者向け】ビジネスに必要な「デザイン思考」とは何か?プロセスをイラストで紹介!

そしてグッドパッチのデザイナーは、クライアントさまの問題解決への道しるべを提供するべく、様々なプロセス・手法を用いてデザインをしています。
デザインシンキングやプロトタイピングを実践するワークショップの他、UI/UXフィードバックなども提供しています!ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

ABOUTこの記事をかいた人

mina

デザインを学び始めたばかりのGoodpatchインターン生です。 初心者の方でも分かるような記事を書きます。
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