デザインスキルは武器になる! SHEが描く、ブランディングとデザインのこれから

「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し熱狂して生きる」を理念に掲げ、21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブSHElikesを主催、また9月にはコワーキングスペースSHEworksをオープンしたばかりのSHE株式会社多方面で活躍する女性たちが講師として参加し、イベント後Twitterで「#シーライクス」「#シーワークス」がトレンド1位を獲得するなど、多くの注目を集めています。
今回はSHEが実現するブランディングとデザインの関係性クリエイティブへの強いこだわりについて、代表取締役の中山紗彩さん(@jillstuarts)、取締役CCOの福田恵里さん(@eri_razapii)にインタビューしてきました!

SHE株式会社代表取締役 中山 紗彩さん
1991年生まれ 26歳。早稲田大学在学中、コンサルティング事業を経営。 2014年リクルートキャリア社に新卒入社。
社内新規事業提案制度にて教育サービスを立ち上げ、後リクルートマーケティングパートナーズに事業売却。
2016年2月、スタートアップ取締役を経て、2017年4月SHE株式会社設立。

SHE株式会社取締役 / チーフクリエイティブオフィサー 福田 恵里さん
1990年生まれ。新卒でリクルートホールディングスに入り、ゼクシィ/リクナビ等のアプリのUXに携わる。2017年7月から独立し、SHE株式会社を設立。自分でアイデアを形にできる女性を増やしたいという想いから、学生時代に、女の子のためのデザイン講座「DesignGirls」を立ち上げ、続く「SHEdesigns」を合わせ3年間で累計300人以上の初心者の女性が受講。

自分たちだからこそできる課題解決を


──
本日はよろしくお願いします! まずは、SHE株式会社が提供する2つのサービスが、どのようなビジョンを持って立ち上げに至ったのか教えてください。

ー中山さん
私と福田がそれぞれ持っていた「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作りたい」というビジョンが合致し、それを実現するべく、今年の4月に「SHE株式会社」を立ち上げました。


ー福田さん
会社を立ち上げようと決まった時に、トレンドやマーケットの動向などよりもまず「自分たちだからできること」にフォーカスしてサービスを考え始めました。
我々は20代後半。同世代の周りの女性の意見を聞いていると、「キャリア、結婚、子育て、全てを求められる今の社会で、自分はどういう生き方をしていけば良いか迷っている」「自分が何が好きなのか、向いてるのかがいまだにわからない」といった声が多く、そんな彼女達が自分たちの人生に納得感を持って生きる手助けをしたい、と考えました。自分たちを含めた周りの同世代の女性達が実際に抱いている課題を、包括して解決できる事業を作ることが、我々が事業を行う意味なのではと思ったんです。

──そういったビジョンからSHEのビジネスが生まれたんですね。SHElikesのレッスンにはキャリアアップやライフスタイルなどのカテゴリがあり、その内容も多様ですが、ターゲットやペルソナはどのように考えられましたか?

ー中山さん
SHEのサービスは、好きなことを「見つける」「深堀り専門性を高める」「それを生かして働くという3段階での支援をさせていただくサービス構成になっています。また、ひとつひとつのサービスごとに、各2パターン計6種類のペルソナを立てています。

ー福田さん
最初はlikes, loves, works, 各サービス1人の計3つのペルソナを立てていたんですが、実際に始めてみるとより細分化できるな、ということになって。

ー中山さん
そうなんです。最初からコワーキングスペース「SHEworks」とレッスンクラブの「SHElikes」ではターゲットとするユーザーが異なると仮説立てしていたのですが。サービスをリリースしてみると同じ「SHElikes」の中であっても、興味を持つレッスンによってユーザーのタイプが違ってくることがわかりました。それを踏まえてペルソナを細分化し当初の3つから現在6つほどまで分類しています。

キャリアからライフスタイルまで様々なジャンルのレッスンが揃うSHE


ー福田さん
セグメンテーションは、デモグラ情報の他に、大きくマトリクスでは2軸に切ることができていて、「①やりたいことが既にある/ない」「②スキルアップ思考/趣味・余暇充実思考」に大きく分けられます。「キャリア」系のレッスンを選ばれる方は、20代の後半になって転職や独立など、新しいキャリアを考える一助としたい、という方が多く、ヨガなど「ライフスタイル」系のレッスンを選ばれる方は、新しいトレンドを取り入れたい、趣味の幅を広げたいという思考の方が多くいらっしゃいます。ただどちらにしても、自分の人生をより充実させたいという向上意欲を持った女性が多いのは共通していると思います。

──『「好き」と「仲間」が見つかる場』というSHElikesには、自分の生き方について考える女性が多く集まっているんですね。

ビジョンをデザインで表現

──SHEのWEBサイトは白を基調としていて、自立した大人の印象を受けます。

ー福田さん
WEBサイトや全ての制作物のカラーリングなどにはすごくこだわっていて、何回もチューニングしています。
自立した大人の女性の世界観を表現したかったので、基本はブルーグレーといったような落ち着いた色を使っています。ただ、「女性向け」ということを直感的にわかってもらう必要もあるので、アクセントとしてダスティピンクを入れてカラーコードを設定しました。このブランドキーカラーに従って、サイトなどの制作を進めています。

自立した大人の女性の世界観を表現されている

──世界観をデザインで表現していらっしゃるんですね。ブランディングのキーワードなどはありますか?

SHEのビジョンミッションとして、「Be Yourself」「Be No1」「Be Missionful」 の3つを掲げています。「まずはあなたらしく、最上を追求し、自分の使命を感じて生きる」というような意味合いなのですが、ブランドガイドラインもこの思想から具体イメージに落としてきています。当たり前のことだとは思いますが、サイトデザインだけでなく、写真やイラスト、文言なども基本はこの思想から逸脱しないように気をつけています。

──こうしたブランドキーカラーやミッションを元に空間のインテリアや講師の方の服装なども統一されていますよね。

ー福田さん
はい。講師の皆さんにも、なるべく白やペールトーンの衣装を着てくださるようお願いしていたり、イベントによっては参加者の方にドレスコードを設けさせていただくこともあります。


──こういったところからもブランディングへの強い思いを感じますが、CCOとしてデザイナーである福田さんが当初から経営陣にいらっしゃることもまた大きいんでしょうか?

ー中山さん
自分たちの世界観を表現する際に、表現物の隅々までの品質担保できるデザイナーが創業時から経営陣として存在していることは、自分たちの強みだと誇りに思っています。
これまで、「クリエイティブ性の高さがひとつの重要経営戦略になる」という発想ってあまり浸透していなかったですよね。でも私たちはそこをとても重要視しています。
特に私たちのような種類のサービスは、「ユーザーにお渡しできる体験、価値づくり」がとても重要だと思っています。そして、その提供価値には、クリエイティブ面の品質が大きく関わると考えております。
それ故、クリエイティブ戦略を重要戦略に、福田を重要人物に(笑)据えています。

ー福田さん
そうですね。私だけではなく、代表の中山もブランドやクリエイティブに対するこだわりと理解を持っているのは大きいと思います。絶対妥協しないし、そこはSHEの強みだと思っています。
日本のスタートアップ企業では、はじめのうちはCCOは勿論、デザイナーがインハウスでいないところが多いですよね。そうなると、やっぱりアウトプットの均一化であったり、ブランドの統一、というところが難しいと思います。

 ──CCOがいることで、早いスピードで的確にビジョンが可視化され、統一されたデザインによってプロダクトの価値を高められるということですね。

ー中山さん
機能性だけだと差別化が難しくなるような時代の今、それらと差別化し、いかに独自価値を作るか、という戦略を日々考えています。
SHEで据えているイメージキャラクターもその戦略のうちのひとつです。

SHEのイメージキャラクター

ー中山さん
実はこれ、実の妹が書いてくれているものなのです。長年一緒に生活を共にしている妹だからこそ、世界観やビジョンを汲み取って、SHEの世界観に合う素敵なイラストに落とし込みをしてくれています。SHEが広まって妹に専属イラストレータとして入社してもらうこともひとつの夢だったりします。(笑)

体験の価値づくり

──ブランディングだけでなく、ユーザーに提供する体験価値の設計にとてもこだわっていらっしゃいますよね。

ー福田さん
まず、自分たちが解決したい課題からビジョンを構築し、そこからプロダクトに落とし込んでいったので、全ての事業に一貫性があるということは私たちの強みだと思います。
先ほどお伝えさせてただいたビジョンにもありますが、自分たちにしか提供できない価値を目指して、コンテンツ、コミュニティ設計、空間の3つの軸でそれぞれ設計をしました。
コンテンツに関しては、何十人、何百人と重ねてきたヒアリングを元に女性たちのニーズや悩みを細分化して、内容を企画しています。
SHElikesで開催しているのは「イベント」ではなく「レッスン」なので、講師の方にはただ自分の体験を話すだけでなく、汎用性のある、明日から実践できるTIPSをお話いただくように依頼しています。

──行っただけで終わってしまうただの勉強会ではなく、行動へのきっかけになるんですね!

ー福田さん
また密度の高いコミュニティを作る、という点にもこだわっています。イベントの終わりには懇親会があることが多いと思うんですが、全体としては盛り上がっているのにその輪の中に入れていない人もいますよね。SHElikesの交流会では、そういったことが極力ないように、こちらがグループを指定して話してもらうようにしたり、トークテーマを用意したり…。そうして場が温まった後にフリーのセッションタイムをとって講師を巻き込んで話してもらうなど、交流、会話が生まれやすい工夫をしています。
オンラインでのコミュニティも作っているので、そちらでもフォローをしています。

 ー中山さん
空間設計としては、コワーキングスペースについて言うと、ヒアリングを行った際に女性から多くの要望があった「リラックスできる空間」を目指しています。
例えば疲れない椅子を置いたり、土足厳禁にしてラグの上で寝転がって作業できるようにしたり。また全体的に鎮静効果のある薄い青色を基調とした落ち着く色味のインテリアを選んで配置しています。

ー福田さん
またスペースの立地も、かなり議論しました。はじめは広尾や六本木を検討していて、契約する直前まで行ったんですが、もう一度ユーザー視点に立って、ヒアリングをし直したところ、
アクセスの利便性やそのエリアにいらっしゃる顧客属性などから最終的に表参道に拠点を置くことに決定しました。実は、そもそもコミュニティスクール事業を行うのに、拠点となるスペース自体必要ないのではないか、という話も出ていました。
ただ、人の人生を変えるような出会いや体験はやっぱりリアルな場で得る事が一番多いと考えていて、オンラインサロンやネット上での情報収集が当たり前なこの時代だからこそ、リアルな場やコミュニティが重要なのではと思っています。1つの空間の中で様々な背景を持った人が出会い、会話をし、刺激を受ける。その交流を通して、新しいスタートだったり、次の一歩を踏み出すきっかけにしてほしい。そういった思いから、コストをかけてでも教室を持とうと決めました。

──女性が一歩を踏み出す後押しをしたい、という思いを軸に、妥協せずブランディングや体験設計をされているんですね。


デザインは武器になる

──福田さんは学生時代より女性向けのWEBデザイン講座を主催されていますが、女性がスキルの一つとしてデザインを学ぶ意義とはなんでしょうか。

ー福田さん
今の時代は、個人が影響力や発信力を持ってプラットフォーマー、メディアになりうる「個人の時代」と言われていますよね。
そこで、「自分が伝えたいことをいかにわかりやすく世の中に発信するか」がすごく重要になると思っています。どれほど伝えたいことや表現したいことがあっても、それを乗せるインターフェースの部分のクオリティが低いと今のユーザーは振り向いてくれない。SNSなどで誰でも意見や作品を発信できる今の時代だからこそ、それを適切な形で訴求するために、デザイン/クリエイティブスキルを身につけることは武器になると思うんです。

──SHEdesignsではデザインとコーディング、かなり本格的な内容を学べるとお聞きしました。

ー福田さん
LPを完成させることをゴールに、WEB制作の一連の流れを本格的に学ぶことができます。
具体的には、ワイヤフレームを作り、そこからデザインカンプを作って、パーツを書き出し、最後にコーディング、というデザインとコーディングどちらも学べる内容になっています。


参加していただいた方から「もっとゆるふわだと思ってた」という感想もよくいただきます(笑)ヨガしてスイーツ食べて女の子同士でわちゃわちゃするだけだと思ってたら、思ったよりスパルタ講座だった!みたいな(笑)
でもアンケートなどを書いていただくと、毎回かなり高い満足度をいただいています。

──学べる内容だけでなくコンテンツとして体験の設計がされているからこその満足度なのかもしれないですね。参加された方の感想やレポートをTwitterやInstagramでよく拝見しますが、本当に楽しそうですよね…!

21世紀を生きる女性たちへ

──最後にお二人から、女性読者へ伝えたいメッセージをお願いします。

ー福田さん
これまでは、独立or会社員というように二極化を迫られたり、リスクを取らなければ自分の好きなこと、やりたいことに挑戦できないという風潮があったように思います。でも今は、副業をOKしてくれる会社も増えているので、起業=リスクじゃない。
もし仮に今の仕事や生き方になんとなく納得感がない…というような方がいらっしゃったら、「いきなり独立しなきゃ!」とは考えずに、好きな事を少しだけお金に変えてみる方法を考えるだけで大きな一歩に繋がるのではと思います。
また、挑戦する際に、「自分はまだまだだから…」という気持ちって、きっと何歳になってもあまり変わらなくて、未熟な自分でも勇気を出して、世間に一度自分の思想や作品をアウトプットしてみることが大事だと、私は自分の経験を通して本当に痛感しています。イタイ、ダサいと思われるんじゃないか、恥ずかしい、と思う気持ちを一歩乗り越える勇気を持って、輝く女性がもっと増えるといいなと思っています。

ー中山さん
今は個人に焦点が当たる時代になってきています。
そんな時代では、「いかにストーリーを描きいかに共感を生めるか」が重要になってくるので、思いを形に表現するためのクリエイティブスキルはどんどん重要になってくる。
SHE社内でもそこの意識を強化していきたいですし、同時にSHElikesにも、こうしたクリエイティブなスキルを学ぶことができる多様なレッスンを追加していければと思っています。ところで、私自身、数年前は「やりたかったこと」を封じ込めて生きている部分がありました。でも今は、やりたいことを実現する障壁が低くなっている時代だと思うんです。
事業を起こすとか大それたことじゃなくてもいい。規模なんて関係なくって、もっとやりたいことを素直にやれる、挑戦していけるような環境作りの支援をしたい、と思っています。やりたいことに踏み出す1つの選択肢として、SHElikesに参加いただき、一歩踏み出すきっかけにしていただけたらと思います。

──中山さん、福田さん、ありがとうございました!

「デザインという武器が備わった事で、見える世界が180度変わったような、そんな感覚がありました」
SHE立ち上げの際に書かれた福田さんのエントリにあったこの言葉に、Goodpatchの「デザインの力を証明する」というミッション、そして大学に入ってからデザインを学び始めた自分自身にも強く響くものを感じ、今回SHEのお2人にインタビューさせていただきました。時代の変化に合わせて自分の「やりたいこと」を形にするための1つの武器として、デザインを始めとしたスキルを身につけてみたり、新しいことを初めてみたり、誰かを巻き込んでみる。「自分にしかできないことで価値を発揮できているとき、人は輝く。」クリエイティブの力を信じるSHEのビジョンは、これからどんどん実現されていきます。
私たちも、そんな一歩を踏み出していきたいですね。

 

ABOUTこの記事をかいた人

Aoi Sakaue

1997年生まれ。ライティングインターンとしてジョイン。大学1年からデザインとプログラミングを始め、現在は人に伝わるデザインを勉強中です。デザインへのきっかけになるような情報を発信していきます!
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