デザインを伝えるときに気をつけるべきこと(続編)

本記事はデザインを伝えるときに気をつけるべきことの続編です。
前回はデザイナーとして如何にクライアントとより優れたパートナーになり、デザインを言語化すべきかについてお伝えしました。今回はよりクライアントを巻き込む方法やツール選定のススメなどについて書こうと思います。

これからクライアントにデザインをプレゼンする人や、デザイナーとしてキャリアをスタートしたばかりの人の参考になれば幸いです。

本記事は英語で執筆されたものを意訳したものです。元記事はこちらをご覧ください。

1. 現実的なアイデアを見せる

特に課題解決をなし得ないデザインや、色だけが異なるデザインはクライアントには見せないほうが良いでしょう。

デザインに対してのオプションをいくつ用意すべきかは繰り返しなされる議論ですが、没になる可能性の高い案をクライアントの時間を使ってまで提示しない方が良いのは確かです。没案を見せることは、本来クライアントの課題を解決しうる案からクライアントの気をそらせてしまう可能性もあります。

A案とB案を選ばせることは巻き込むと同義ではない

多くのデザイナーが「アイデアを提示するときは必ずいくつかのオプションを提示してステークホルダーを巻き込まなくてはならない」と考えがちです。

しかし、クライアントに対していくつかのオプションを提示することは、必ずしも彼らをデザインプロセスに巻き込むことと同義ではないのです。アイデアがプロジェクトを成功へと導くものでないのであれば、プロとしてそれらを提示すること自体がもはや間違っていると考えるべきでしょう。

クライアントを巻き込むもっとも適切なタイミングはプロジェクトがはじまる時です。クライアントは彼らの領域におけるエキスパートであり、デザイナーとして課題解決をするにはエキスパートの協力が欠かせません。最初からプロジェクトに入ってもらい、インサイトやニーズ、課題を抽出して解決策を見出すプロセスに巻き込みましょう。

逆に意思決定の際にのみクライアントを巻き込むとどのようなことが起こるでしょうか。クライアントのみならず、チームのUXプロフェッショナルとしての専門性も十分に発揮できないというリスクが生じます。

2. 素案を解決策として提示しない

解決策を導くためにデザインを見せることと、デザインに至るまでのプロセスを見せることでは多少意味が異なります。プレゼンテーションの中で違いが明確になっていない場合、クライアントがプロセスを解決策として捉えてしまう可能性があります。

プロセスを見せること vs. 解決策を見せること

デザインができるまでのプロセスをクライアントに見せるためには、発散したアイデアを見せることが有効でしょう。しかし、本来このようなプロセスを深く説明する必要はないのです。クライアントからすれば、デザインに行き着くまでにさまざまな試行錯誤がなされたことは容易に想像できるでしょう。

プロセスを提示した後には、彼らの期待値に沿ったアイデアを提示しましょう。ここでは提示したデザインがプロジェクトのゴールを達成するために有効である理由を詳細に説明する必要があります。ここで見せるデザインが最もクライアントにとって意思決定すべき重要な成果物なので、プロセスを説明するときよりも詳細に、また強調したい部分を強調しながら伝えることが重要です。

仮にプロセスと最終デザインを同じ度合いでクライアントに見せた場合、最も見てほしい最終デザインに対して十分な意見をもらえない恐れがあります。結果的に意思疎通の齟齬や本来の目的とは無関係なコミュニケーションにつながりかねません。

3. 適切な忠実度のプロトタイプを提示する

デザインを示す際のフィデリティ(忠実度)は、デザインがどのように受けとられるかに影響します。特にクライアントにデザインに対する理解があまりない場合は、フィデリティの最適化に留意すべきでしょう。初めからフィデリティの高いプロトタイプを作ってしまうと、デザイナー自身が制作に投資したリソースを考慮してしまい、アイデアに対する執着心を抱きかねません。ピクセルパーフェクトなデザインが仮にクライアントの望む方向性と違った場合、初めからデザインを作り直さなくてはなりません。また洗練されたデザインを見せることで、構造部分ではなく表層であるビジュアルに対する議論へと発展してしまう恐れもあります。

逆にフィデリティの低いプロトタイプを見せれば、クライアントに意図が正確に伝わらない危険性があります。紙とペンだけで作られたプロトタイプは、どんなにデジタルで作られたプロトタイプより優れたワイヤーフレームを引けていても真面目に受け止めてもらえない可能性が高いのです。

つまり、デザイナーは最適なフィデリティで自身のアイデアを示す必要があるのです。「何に対するフィードバックが欲しいのか」をまずは決めて、それに対するフィードバックを得られるプロトタイプを提示する必要があるのです。

4. デジタルツールだけに頼らない

多くの人がアイデアを提案するときに、プロフェッショナルとして見られたいが故に必ずスライドを作ります。

ですが、クライアントが全てのテキスト情報を見たいと望んでいる際にあえてキーノートに選別したテキストを載せて見せる必要はありません。また、複数の案を比べる際には画面を繰り返しタップするよりも、壁に貼られた紙のプロトタイプを眺める方が彼らにとっては理解しやすかったりします。また、アプリの情報構造を理解してもらうには、ペーパープロトタイプを実際に触って順番を入れ替えてもらうのが最も効果的であると私は感じます。

もちろんデジタルは他のどのようなツールよりも洗練されているような印象を与えますが、時と場合によってはアナログの方が効果的なのです。多くのケースではキーノートが最適ですが、場合によっては紙とペンが最適なツールなこともあります。


Goodpatchはサービスの立ち上げから改善まで、様々な課題にクライアントとパートナーシップを組み一緒に取り組んでいます。ご興味のある方は是非こちらからお問い合わせください。

ABOUTこの記事をかいた人

mutt

Designer at Goodpatch Tokyo from Seattle, WA. 日本2.75年目、シアトル出身、University of Washington卒業、青山学院大学留学。 デザイン、フォトグラフィ、お散歩、コイキングが好き。 IG: https://instagram.com/_____mutt/
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