今回インタビューをしたのはUIデザインリードの川瀬。2015年にUIデザイナーとしてGoodpatchに入社後、さまざまなプロジェクトを担当し、産休・育休を経て2019年より復帰。現在はコーチングの資格を活かして社内の相談室「保健室」の取り組みを行うほか、UIデザイナーのマネジメントにも挑戦する彼女のこれまで・これからについてお話を聞きました。

人の感情への興味

研究職の父親とバイオリニストの母親に囲まれて育ちました。日常の小さな「何でだろう?」を父と一緒に分析したり深堀りする事が当たり前だったし、その一方でロジック抜きに人の心に訴える表現をする素晴らしさも母から学びながら育ちました。

祖父はバイオリン製作者、叔母は美術の先生だったので、「ものづくり」も身近な環境でした。周囲にいた大人の影響で、「自分も同じような道を歩むのだろうな」と漠然と考えるようになりました。彼らのように何かを極めて「何者かになりたい」という思いが強かったんだと思います。

子どもの頃はピアニストを目指していたのですが、自分よりすごい人たちがたくさんいることを知り、途中で挫折してしまいました。あとはピアノを弾くこと自体より、人前で何かを表現したり見てくれた人から反応があることが嬉しかったんだと思います。

自分の興味が「人」にあることを知り、心理学や哲学などを学ぶのもいいなと思っていました。
当時から、自分の行動で人がどう感じるのか、どうしたら人は喜ぶのか、そんなことを考えるのが好きでした。おちゃらけて、相手が笑ってくれると嬉しくなる。そういう気質は今でも変わっていませんね。

また、父の仕事の関係で海外の方が家に来ることが多かったのと、幼少期のホームステイ経験や母親も海外生活が長かったことなどから、海外への興味も漠然とありました。「人の感情に関わること」「表現」「海外」という軸で進路を考え、高校卒業後は海外の大学への留学を決めました。

課題解決としてのデザインと出会い、サンフランシスコへ

はじめは、人の感情に訴えるアプローチとして、イギリスに留学してファインアートを専攻しました。周りが自己表現のために作品を作っている中で、自分は何かを「表現」する作業やプロセス自体は好きだけど、表現したい強いメッセージがある訳ではなくて「何か違うかも」と感じる日々が続いてしまって。自分がやりたいことは少し違うのかもしれないと迷いがありました。
悩んだ末に、興味がある分野をもう少し幅広く学べるアメリカの大学で学ぶことにしました。ファインアートの授業を中心に心理学系の授業など興味のある分野を広く学んでいた中で、興味本位で受けてみた平面構成の授業やグラフィックデザインの授業がすごく楽しかったんです。

初めてとったグラフィックデザインの授業の中で、架空のクライアントとお題があって、それに対してどんなアウトプットをするか?という課題があったのですが、自分が作ったもののレイアウトや文字や配色、すべてにおいて「理由」を問われました。ファインアートが自分起点の表現なのに対して、誰かの課題がまずあって、それを解決するためにロジックを立ててアウトプットするデザインに凄い納得感と面白さを感じました。やっと「私がやりたいのはこれだ!」と思えたんです。

「課題解決としてのデザインを最先端の場所でもっとちゃんと学びたい」と思って、サンフランシスコにある美大に編入してグラフィックデザインを本格的に学びはじめたのが2011年のことです。代表の土屋がグッドパッチ創業前、サンフランシスコに滞在していた時期とも少しだけ被っています。出会うのはもう少しあとのことですが(笑)。

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当時サンフランシスコでは、決済サービスの「Square」が近所のカフェで導入を始めたり、ライドシェアの「Lyft」がピンクのひげをつけた車をたくさん走らせていたり、身の回りでいろんなサービスが展開され始めていました。ハンドメイドのECサイト「Etsy」や当時勢いのあった「Fab」で雑貨を購入したり、「Airbnb」で短期滞在しつつ引っ越し先を探したりもしましたね。大学の授業でAirbnbのHQをオフィス訪問をしたことも印象に残っています。

生活と密接に関わる最先端の様々なサービスに触れたことで、インターネットやテクノロジーの可能性を感じたり、それらを通して人の生活にダイレクトに届くサービスに関わりたいという気持ちが芽生えていきました。
そして、イギリスやアメリカでの海外生活を経て、日本の良いところも悪いところもどちらも知った上で、やっぱり日本が恋しくなって。これまでに自分が海外で見てきたもの、価値観を日本に持ち帰って働くのも面白いかもしれないと考え、サンフランシスコの大学を卒業後、日本に帰国しました。

「こんなにたくさん仲間がいたんだ!」

帰国してからは、ご縁があったある事業会社でUIデザイナーとして働き始めました。
立ち上げ1年以内くらいの小さな会社で、エンジニアは何人かいたのですが、はじめのうちはデザイナーは実質私だけでした。立ち上げ期ならではのやりがいがあってとても楽しかった反面、「デザイナーがもっとたくさんいる環境で働いたらどんな感じなんだろう」という興味がありました。

そんなときに、飲み友達がGoodpatchに入社して、「一度遊びに来ない?」と誘ってもらいました。それがきっかけで初めてGoodpatchを訪れて、代表土屋と初対面。サンフランシスコ生活の話や、「今どんなアプリを使ってるか」なんて話をした記憶があります。オフィスを見せてもらうと、そこではデザイナーをはじめとしたメンバー同士での会話がたくさん交わされていて、すごく活気を感じました。「UIデザインの会社」であることと、そこにデザイナーが集まっている環境に惹かれて、入社を決意。それが2015年1月で、Goodpatchの社員数はまだ50人をこえたばかりでしたね。

2015年9月の社員総会

入社してからは、デザインの悩みを周りのデザイナーに相談できたり、壁打ちできる環境がすごく嬉しかったです。私はAppleのプロダクトが当時から好きだったのですが、新作が発売されたりイベントがあるときには、社員がわーっと集まって一緒に開封して盛り上がったり、早速UIの談義がはじまったりするのも楽しかったです。「Apple製品の開封したてのにおいが分かる人がこんなに沢山いるんだ!」みたいな、仲間が見つかった衝撃がありました。

半年に一度開催している社員総会についてはこちら

悩んでいる人が前進する手助けをしたい

入社以来いろいろなプロジェクトに関わりましたが、ひとりでスキルを高めるだけではなく、チームでお互いのいいところ、弱いところを補強しあって働けることが最高に楽しかったです。チームで働くことを大切にするGoodpatchの文化にはとても共感しています。

仕事をする中でUIや表層に近いところを作るフェーズももちろんやりがいがあって楽しいのですが、私が特に好きだったのがユーザーインタビューです。どんな風に問を投げかけたらインサイトが引き出せるのか考えたり、人の感情や空気にダイレクトに向きあえている瞬間が好きだったんだと思います。そんな風に自分の新しい面に気づき始めた頃、第一子を授かり、産休に入ることになりました。

産休・育休に入っているあいだに組織も大きくなって、復帰する直前に職能型組織に体制変更がありました。あとは、今までとは違って仕事にコミットできる時間が制限されるので、その中で復帰して自分が本当にやりたいことは何なのか、一度まっさらな状態になって考えてみたんです。
UIデザインなのか、UXデザインなのか、はたまた組織のデザインなのか。視野を広げて、自分の今までの経験やスキルすべてを仕事に還元するためのいろんな可能性を考えました。

自分がもっともいきいきと働けていた瞬間を振り返ると、ユーザーインタビューやエグゼクティブインタビューなど、人の気持ちに向き合い、分析している時のこと、あとはチームのメンバーやクライアントが自分のコミュニケーションによって喜んだり感謝してくれた時の事が思い浮かびました。過去も今も、自分の矢印が常に人に向いていたことを改めて実感したんです。

それはクライアントやプロジェクトチームに限らず、一緒に働く同僚に対しても同じで。
私はGoodpatchが組織崩壊していたときに何度も何度も仲間達を見送ってきたので、今だからこそなのかもしれませんが、「あの時自分なりにできたことがもっとあったかもな」なんて気持ちはあります。誰かから相談をされた時に、ただ聞くだけでなくてもっと役に立ちたいし少しでも前進する手助けがしたいという想いがあったのと、もやもやしがちな自分自身の思考の整理のため、そして母親としても大切なスキルだと思い、コーチングを学んで復帰後に資格を取得しました。

復帰してからは、通称「保健室」という取り組みを小さく始めました。ただ誰かに話を聴いてもらったり共感してほしい人や、話すことで思考の棚卸しや整理したい人など、どんな事でもいいので気軽に1時間程度1on1したりコーチングしたり息抜きのコーヒーブレイクをするために使ってもらう時間です。

コーチングでは、問いかけによって気付きを与えます。その人の強み弱みやスキルなど持っているリソースや思考を棚卸ししながら、それらを目標や理想の実現に繋げていくために行動を促します。分散した要素を整理して、ロジックを立てて、一本の線で繋ぐという点で、デザインとコーチングはなんだか似ていると思うんです。

メンバーと接する時も、その人の頭の中を一緒に棚卸して、「これとこれを繋げたらもっといいものが生まれそう!」と気づかせてあげられるようなコミュニケーションを意識しています。

デザイナーは常に不確実性と向き合っているので、仕事のことでもキャリアのことでもどうしても不安になったり、モヤモヤした気持ちを抱える時期があると思います。ユーザーやクライアントの課題を自分ごと化して向き合っているからこそ、無意識に自分の気持ちは後回しにしてしまったり、本当は思いっきり話を聴いてもらって発散したい人も多いと思います。私自身もキャリアには迷い続けてきたし、決してスタープレイヤーだった訳ではないからこそ、デザイナーのやり場のない気持ちがわかるんです。「もやっとしてるのはあなただけじゃないよ」「自分では弱みって思い込んでいることが、こんな強みにだってなるんだよ」と寄り添ったり気付きを与えて背中を押してあげられるようなリーダーシップを心がけています。

Goodpatchがこれから大きな組織になっていく中で、階層間で結節点となる人がとても大事だと考えています。子供が産まれて、限られた時間で働く中でどこまでできるかは挑戦の真っ最中ですが。

今は時短で働いているので、夜は子どもとの時間をメインにして、仕事とは完全に切り替えています。朝は7時に起きて、まず子供と自分の身支度。ここが一番バタバタです(笑)。準備ができたら自転車で子供を保育園まで送り届けて、自宅に戻って軽く家事をして9時ごろからリモートで業務開始。夕方の5時半ごろまで仕事をして、また自転車で子どものお迎えにいくような毎日を過ごしています。1日の終わりにビールをぷしゅっと開けてネットや動画を観たり読書する瞬間が楽しみです。子供と一緒に寝落ちしてしまう事も多いですが(笑)。

私は、仕事と家事や子育てをパーフェクトに両立できる人なんてなかなかいないし、そもそも「両立」させようと気負わず人それぞれのいろんな正解の形があっていいと思うんです。Goodpatchで働くメンバーには、「こんな形もあっていいんだよ」という選択肢を見せてあげたいと思っています。今は子供と過ごす時間があるからこそ、昼間はモチベーション高く仕事に集中できますしね。夕方に「まだ仕事したいのにもうお迎えの時間!」と思っても、自転車に乗った瞬間にはやっぱり早く子供に会いたくてわくわくする気持ちに切り替わったり。私が子どもにそう思うように、みんなの大切なものを平等に思いやれることが一番いいなと思っています。それが趣味でも、恋人でも、ペットでもよくて、お互いの大切な存在を思いやりながら働いていけるといいですよね。

なぜだか分からないけれど、私は昔からGoodpatchに集まる人と波長が合うんです。
サービスを届けるユーザー、クライアントの想いにコミットすることはもちろん大切ですが、自分のそばにいる同僚のことも大切にしながら、これからも働いていきたいなと思います。


Goodpatchは「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、クライアントの課題に日々向き合っています。デザインの力を信じる方からのご連絡をお待ちしております。

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