Goodpatchでは、メンバー一人ひとりが自分らしく働ける為に「Diversity(多様性)」を大切にしています。Diversityという要素は、Goodpatch OSという企業文化を言語化しているデックに含まれています。
(ビジョンとミッション、バリューとカルチャーの位置付けは、下記の画像をご参照ください。)

私たちの企業文化は常にアップデートされていくものであるので、「OS」という概念で運営されています。Goodpatch Europeでは選考からオンボーディングまで全てGoodpatch OSを用いて企業文化を説明しています。

現在、Goodpatch OSには以下の4つの項目があります。(今回それぞれは説明しませんが、詳しくはこちらの記事をご覧ください。)

  • Self Organization
  • Learning
  • Diversity
  • Mindfulness


Goodpatch Europeでは国籍、LGBTQ、ジェンダー、リーダーシップに関しては自然に体現しており、Goodpatch Tokyoの私たちが見習う必要があるところは多くあります。Goodpatch全体としてどのようにDiversityを捉え、どのように体現するか。EuropeとTokyoでそれぞれ取り組みは始めているものの、まだまだ明確化されていません。

そのため、Goodpatch TokyoでもPeople Experienceチームの活動の一環として、私自身も様々な種類のDiversityへの理解を深め、実行してきた様々な取り組みをご紹介したいと思います。

グラデーションで考える、Rainbowpatch


2019年5月には、東京レインボーパレードの後押しもあり「LGBT、いわゆる性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現」の理解を深める為に、Rainbowpatchを開催しました。社内外から有識者をお招きし、正しいインプットを行うことで日々共に働く仲間たちで共有認識を持ち、自分ごと化する貴重な機会となりました。
そしてこの場で終わることがないように、1人でも多くのデザインの力を信じる仲間が自分らしくいられることができ、個人が活躍できる環境を作る」ことを目的に私たちは「アライ」(Ally=同盟、味方という意味)の証としてステッカーを作りました。この日以降、多くのメンバーがステッカーをPCに貼り、意思表明をしています。

ファミリーデーからオープンデーへ

Goodpatchには「家族を大切にする」カルチャーが根付いており、コミュニケーションの節々にその家族を持つ社員への尊重に溢れるやり取りを見かけます。制度にも時短勤務や、子ども補助金などがあり、働きやすい環境を心がけています。もちろん、様々な企業で開催されているファミリーデーも以前から意欲的に取り組んできましたが、今年は名称を変更することにしました。ご家族はもちろん、みなさんの身近にいる大切な人にGoodpatchを理解してほしい。広くご参加いただきたいという想いを込めてよりインクルーシブなものにするべく「ファミリーデー」から「オープンデー」としました。その影響か友人やパートナー、姉妹や両親など様々なパートナーシップが集まり、この時間を通してメンバーの縁の深い人とメンバー同士の「縁」が深まる「縁日」となりました。
今回のオープンデー開催にあたり、多くのメンバーがつくり手となって主体的に協力をしてくれました。そのおかげもあって、これまでで一番多くのコンテンツを用意することができました。

リーダーシップメンバーのリテラシー強化

日々の業務でメンバーとの結節点になるリーダーシップメンバーに対して研修を実施しました。Diversityといっても国籍、性別、LGBTQ、年齢など本当に様々なものがあるので、まず前提である「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」について取り上げることにしました。講師にお招きしたのは、Rainbowpatchでもお世話になったパレットーク編集長 合田文さんにお越しいただきました。

マネジメントメンバーも含め、全部で20名ほどいるリード以上が全員参加。2日間にわけて2時間ずつ受講し、当日は座学とワークを踏まえて「無意識の偏見」への理解を深めました。誰もが無意識の偏見を持っているもの。大事なのは「自分も偏見を持っていると認める」ことであるということを学びました。

言語の壁を超える、英会話レッスン

数年前からGoodpatchには英会話補助制度があります。その制度をメンバー主導でカスタムして、外部から講師をお招きしたメンバー同士で英会話クラスが始まりました。Goodpatch Tokyoで働くメンバーの中には、日本語が母国語ではないメンバーも多くいますが、日本語が堪能なので英語を使う機会は人によって様々です。
Goodpatch Europeは英語が堪能なメンバーが多く、彼らとの日常的なコミュニケーション(SlackやオンラインMTGなど)の際には英語でコミュニケーションが必要になるため、意欲的に活動しているメンバーもいます。

私自身が考えるDiversity


そんな私自身もDiversityの一つを身近に感じることがありました。いわゆる「女性の活躍」です。Goodpatch Tokyoには20名のリード・マネジメントメンバーがいますが、その中で唯一の女性マネージャーになったのです。
日本社会の「女性の活躍」においては、女性が男性化しないとキャリアが拓けない、女性だからといって抜擢されるのは不本意であるなどの様々な意見があります。こうした世の中の流れにも耳を傾けながらも、マネジメントメンバーが「リード・マネジメントメンバーに多様性がない」という経営課題に長年丁寧に向き合ってきたこともよく知っていました。

そんな中で、Diversityを体現する組織であるGoodpatch Europeのベルリンオフィスで働き、ヨーロッパ最大級のレインボーパレードに参加し、ありのままで自然体な自分で道ゆく人たちと時間を共にし、対話する経験を元に自分のDiversityに向き合ってわかったのは、まずは一人のビジネスパーソン。一人のデザイナーとしての「個人」として選ばれ、その上での「強み」の一つとして「女性」というアイデンティティがあるということでした。
様々な属性の前に一人の「個人」であり、それをまずは尊重すること。これがDiversityのベースであるということに気づいたのです。

GoodpatchにおけるDiversityとは何か


Goodpatchで働くメンバーには様々なDiversityがあります。Diversityは言葉の通り、本当に多様です。自身が経験していないこと、自身と異なれば、ある集団の中ではマイノリティになりえます。私たちデザイナーという職種自体も社会から見たらマイノリティになりえる場所もあります。
しかし、本当のDiversityとは属性にとらわれず、個人が持つ解釈の余白と意見の余地が多様であること。そのように考えています。
例えば、Goodpatchでは、2018年に新しいバリューを5つ設定しました。2019年には、そのバリューの意味をデザイナーがそれぞれ解釈し、数々のアウトプットを生み出しました。
Goodpatchでは、これらのアウトプットに対して、個々の意見を押し付け合うことはありません。それぞれのアウトプットに込めた想いに耳を傾けます。これは「こうでなくてはならない」といった意見の押し付けではなく、それぞれの解釈に余白を持たせているからこそ出てきたアウトプットともいえます。これもDiversityの一つです。

山口周さんの「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」という本にこのような一節があります。

ほとんどの企業は、性別や国籍といった「属性の多様性」にのみフォーカスを当てるばかりで、肝心かなめの「思考の多様性」や「意見の多様性」にまで踏み込んでいる企業が少ないのは何とも残念です。
(中略)
最終的に重要なのは「意見の多様性」であって「属性の多様性」ではない。
(中略)
重要なのは、人と異なる考え方/感じ方をそれだけ組織成員できるか、そして考えたこと/感じたことをどれだけオープンに話せるかという問題です。

多様であることは、個人のストーリーの中の一つの要素にしかすぎません。
そのDiversityでよく掲げられる「属性」以前に、一人の「個人」であり、多様な解釈の余地や意見を尊重される組織であること。GoodpatchにおけるDiversityとはそういった「多様であることを尊重する」という価値観が揃っていること。その上でお互いに歩み寄り、理解し、人として向き合う組織であり続けることなのだと、今私たちは考えています。