デザインスプリントの成果を最大化する!実践で注意すべき4つのポイント

以前、サービス開発に有効なフレームワークとしてご紹介した「デザインスプリント」。今回は主に、この先プロジェクト内で実際にデザインスプリントを導入していきたい、という方に向けて、スプリントを実践する上で重要なポイントを4つに絞ってお伝えしたいと思います。

なおこの記事では、各ワークの具体的なやり方については触れておりませんのでご了承ください。
デザインスプリントの概要や、導入のメリットについては以下の記事でご紹介しています。

サービス開発におけるデザインスプリントの特徴や、プロジェクト導入のメリットとは

1. ログを残しながら進める

デザインスプリントを行う際は、継続して利用できる専用のスペースを用意することをおすすめします。良く言われていることではあるのですが、実施する度に重要性を痛感しているので、ここでも取り上げました。

なぜそれほど重要なのかと言うと、ログを残しながら、また常にそれを確認しながら作業を行うためです。
例えば、せっかくペルソナやストーリーボードを作成しても、日をまたぐといつの間にかそのことを忘れてしまい、アイデアを出したり決定する上での軸が知らぬ間にずれていた、ということが起こりがちです。特にクライアントを巻き込んで行う場合など、ワークに慣れていないメンバーがいる場合は注意が必要です。

過去のワーク内容が常に目に止まるよう貼り出しておきつつ、進行役の人が適宜振り返りを促すことで、そのような事態を免れます。
最初はキックオフの日にスプリントのゴールを書き出しておき、大きな決定事項は随時追加していくと良いと思います。

2. 適切な仮説を選定する

仮説検証のアンチパターン

デザインスプリントでは、Crazy8sなどのワークを行いながら、短期間で多くのアイデアを発散していきます。しかし実際にやってみると、アイデアを出すことより決定することの方が難しい場合が多いと思います。
決定した内容を検証=ユーザーテストしてみたけど、あまり上手くいかないというケースが大きく二つあります。

  1. 検証が難しい(プロトタイプを用いた定性的なテストでは判断しきれないような)内容を選んでしまい、仮説が仮説のまま終わってしまう
  2. 検証したいことを詰め込みすぎてしまい、プロトタイプに落とし込みきれない、もしくはテストで掘り下げきれない

仮説を具体化する

これらを回避するためにまず大事なのは、それぞれの仮説をなるべく具体的にすることです。どのような条件で、ユーザーがどのような行動をとるか、がそれぞれ具体化できていると良いと思います。

  • 悪い例:〇〇という情報があるとコンバージョン率が上がる
  • 良い例:メインビジュアルの直下に〇〇という情報があると、ユーザーにとって資料請求に進む心理的ハードルが下がる

仮説出しのワークを行う前に、メンバーに注意点として喚起しつつ、出揃った時点で具体化されていないものは、皆で話し合いつつ調整しましょう。

仮説が適切な形で具体化できていると、それをプロトタイプで検証できるのか否か、それを検証するためにどの程度の作り込みが必要か、判断できるようになります。

プロトタイピングにおける仮説検証のポイントについては、以下の記事が詳しいのでご覧ください。

プロトタイピングを始める前に!押さえておきたい仮説検証とコラボレーションのコツ

3. プロトタイプの精度とスピード感を意識する

優先度の付け方

プロトタイプを作成する上では、決定した検証内容に合わせて、時間のかけ方に緩急をつけることが重要だと思います。かなりのスピード感が求められるので、アジャイルな開発スタイルにあまり慣れていない方は、特に気をつけるべきポイントになるのではないでしょうか。

例えば、アプリ内の検索機能が主な検証項目として上がっていたとします。その場合、メインとなる画面自体を作り込むよりも、検索時にどのような挙動をするのかが分かる画面を、できるだけ多く作る方が優先度が高くなってきます。場合によっては、全体の体験の流れを追えるよりも、スポットで動く(インタラクションをつけた)プロトタイプを用いた方が検証精度が高いこともあり得るでしょう。

リアルなプロトタイプ

一方で、テストを行うためのプロトタイプについて良く言われるのが、なるべくリアルなプロトタイプであるべきということです。これはデザインのクオリティという意味ではなく、納品物にいかに近いかという意味でのリアリティです。
ペーパープロトタイプよりは、SketchやProttなどのアプリケーションでデザインされたもの。モノクロのワイヤーフレームに「ダミー」と書かれたテキストよりは、色がついていて仮の要素が全て入ったものの方がリアルです。

プロトタイプのリアリティを高めることは、より良いユーザーテストを行うために効果的だと感じています。
テストは思考発話法と呼ばれる手法(被験者が感じたことや考えていることを、プロトタイプを操作しながら話してもらう)を用いて行うことが多いのですが、リアリティが低いと、本来検証したい内容とは関係ない部分に被験者の気が散ってしまったり、普段の操作とのギャップが大きく操作自体に意識がいってしまう、ということが良く起きていることに気がつきます。

できるだけリアルなプロトタイプを目指しつつ、検証精度を上げるためにどの部分により力を入れるべきかを考えて作成する、というのが重要です。

4. ビジュアルデザインは改めて検討する

最後に、これはデザインスプリントに限らずですが、プロトタイピングをしながらの制作において重要だと考えていることがあります。それはプロトタイプからデザインを作る際に、ビジュアルデザインを0から検討する時間を作ることです。0から検討というのは、トーン&マナーを考えるところから、という意味です。
これは当たり前だと思われる方が多いかも知れませんが、私はデザイナーとして、常に意識しておくべきだと思っています。

なぜかと言いますと、プロトタイプを作成する際の各要素や配色は、あくまでリアリティを高めるために必要なもので、プロトタイプでビジュアルデザインについて十分に検討することは基本的に難しいと思うからです。

そしてプロトタイプは試作品であり、ビジュアルデザインが施されたものではない、ということは多くの方が認識されているものの、実際にデザインスプリントを何度か回した後に、実装用のデザインを作成していくとなると、知らずにプロトタイプに引っ張られてしまったり、クライアントワークの場合は十分な期間が取れない、というケースも一定数あると感じるからです。

デザインスプリントはサービスの体験設計〜各デバイスの画面設計レベルまでを行うのに最も適していると思います。ビジュアルデザインについては別途期間を確保し、スプリントから得た気づきを元にしつつも、プロトタイプに囚われず検討できると良いのではないでしょうか。

最後に

グッドパッチでは、デザインスプリントの勉強会を開いたり、各プロジェクトでの知見を皆でまとめたりと、デザインスプリントに注力しています。
蓄えた知見をまとめて、今後また発信できることもあると思いますので、楽しみにしていて下さい。

ABOUTこの記事をかいた人

joe

UIデザイナー。都内のWeb制作会社を経て、2017年からGoodpatchにジョイン。

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