一生で一度をデザインで彩る〜新卒内定書ができるまで〜

初めまして、UIデザイナーの峰村と申します。今回は、今年入社してくる新卒に向けて制作した内定書の制作過程の話をここに綴ろうと思います。なぜ今回、新卒の内定書を私がデザインすることになったかと言いますと、これに関してはなかなか個人の想いが強くありまして、それを説明させていただくととてつもない文字数の記事になってしまうため、今回はその想いの半分以上を割愛し、説明させていただければと思います。

一生で一度を彩る体験

私は、人生の中で最初で最後の経験というものはそれほど多くないと思っています。そしてその経験というのは強く長く記憶に残るものだとも思っています。私は誰かの「一生に一度」をより素敵なものにするためにデザイナーを目指し、現在デザイナーとしてGoodpatchで働いています。Goodpatchという会社は新卒採用を創業当初から今日まで続けており、新卒を会社に新しい風を与え組織をさらに強くする存在として大切にする文化があります。私自身、新卒でGoodpatchに入社したこともあり、いつかデザイナーとして誰かの人生で最初で最後の一生で一度の瞬間に立ち会いたいという想いがありました。そのような個人的な想いから今年入社予定の新卒に向けて内定書をデザインさせていただく運びとなったわけです。(ここまで熱い想いを書きなぐったわけですが、恥ずかしながら自身の内定式には体調不良で参加してないのです。)

さて、エモーショナルな前置きはこの辺にしておいて、早速新卒内定書制作の過程を説明させていただきます。

ストーリーで描くコンセプトメイク

まず、あまり深いことは考えずに頭の中にある届けたい想いを言語化するところから開始しました。「届けたい想い」を言語化とは言いましたが、今回の主役は内定者の皆さんです。会社が届けたいコンセプトの押し付けは当然よろしくありません。ですから、「会社の目線での内定式」と「内定者の目線での内定式」の二軸で、「届けるべき想い」の言語化を始めていきました。会社が内定者に届けたい想いは事前に聞いていましたから、内定者の目線は実際に一年前の自分を思い出し、コンセプトの種を生成していきました。

会社の目線

  • 暖かく向かい入れたい
  • 安心してほしい
  • 変わらないグッドパッチ を見せたい


新卒側の目線

  • グッドパッチ に入るんだという体験
  • 不安なく未来の自分に期待を膨らませたい
  • 自分が受け入れられたという実感


このように両者が体験する理想の形を可視化すると、非常にコンセプトを立てる上でやりやすくなります。新卒として入社した当時の私は、やはり不安の面が大きく、期待感も高揚感もありましたが、「素直に緊張してしまう」みたいな心境が一番強かったことを思い出しました。それを踏まえると、会社の目線の「安心してほしい」という部分と「不安なく未来の自分に期待を膨らませたい」という両者の想いは、互いに正しい形で受け取りあえる想いであることが見えてきます。この両者を満たせるようなコンセプトを作成しデザインに落とし込むことができるとミッションはクリアできそうです。
と、そんなわけでコンセプトをたくさん思案し作っていきました。私は、デザインのコンセプトを作る際は、ストーリーを想い描きながら作ることが多いです。そして、ここでのポイントはあえて直接的な表現をしないことです。「会社」や「入社」や「安心」のような前段での抽出した想いをそのまま使うのではなく、関係性の似たそれ以外のモチーフに比喩することで、コンセプトとしての余白が生まれます。その比喩が素敵であればあるほど想いの意味としての強さが増し、デザインを強いものにします。

そうして完成したコンセプトがこちらです。

CONCEPT

Goodpatchという大きく、そして深く広がり続ける海に、光り輝く宝石が溶け合う。
宝石が、海に着水する時に生じた波紋は、その宝石が他に与える影響を表している。
そしてその宝石は、周りの宝石の輝きを受け、これから幾千の色を解き放ち、輝き続けるだろう。

TAKE YOUR MARKS.

これは、水泳競技の際に用いられる言葉で、「位置についてヨーイ」を意味する言葉。
新しい物語のスタート地点に立ったあなたは、ここからGoodpatchという広く深い海に溶け合います。
あなたが与える波紋がこの海にとどまらず、世界へ広がっていくことを願い、
この内定書へと込めます。


光り輝く宝石たちが、大空から大海へと飛び込んでくる。大海はそれを受け入れ、そこに起こった波紋はこれから宝石たちが大海に与える影響。光り輝く宝石の起こした輝く波がこれから世界へと影響を広げていく。
うん。とてもドラマチックでエモーショナルでハイパーで素敵なコンセプトです。コンセプトを比喩を使いストーリーを紡ぎながら作ることによって、ビジュアルに落とす際のイメージも明確になります。直接的表現による印象は強いものになりますが攻撃的な印象も与えかねません。ですから基本的に何かをメタファーを起き、それらの関係性でコンセプトを作る。そこに表出してきたメタファーらをビジュアルに落とし込むという順序でデザインを制作しています。

第1稿


それぞれ一人のロゴの宝石が輝いていて、10人いれば10人分の色を放っている。新卒それぞれの個人にフォーカスし、色とりどりの宝石をメインにデザインをしてみました。しかし、ここでのデザインの懸念点も少なからずありました。たくさんのデザイナーにフィードバックをもらいながら、解決すべきデザインの課題を洗い出します。

懸念点

  • 色をつけてしまうと当たり外れがあるのではないか
  • ロゴのレギュレーションを守らなければいけない
  • 少しポップなイメージが強くコンセプトの物語と相性が悪いのではないか


うむうむ、よしよし解決すべき方向性がわかったので、さて、どしどしブラッシュアップです。

第2稿

前回の色がついたデザインでは、色の好き嫌いにより当たり外れが出てしまう可能性もあるという懸念点から今回は、あえてシンプルな方向性をラフで出してみました。うーんちょっと物足りない気もしますが、一旦フラットな目線で考えるため最小まで要素を削ったものでイメージを膨らませます。

それからさらに、波紋の出し方や宝石の形、大きさ、色などを数パターン制作しコンセプトに合うものはどの雰囲気なのかを探っていきました。今回の内定書は面裏の両面印刷になっていて、メインビジュアルになる部分はこの裏の面ではありますが、新卒の名前が一人一人刻まれる表面のデザインも同時にデザインを進めていきます。

シンプルで上品な佇まいを意識し、また人生の大きな門出を表現する厳かなイメージをここでは落とし込みました。フォントは普段はグッドパッチはサンセリフのフォントを使用しますが、それらのイメージを落とし込むためにあえてセリフ体のフォントを使用しています。(あの日内定式に出られなかった自分を救うために、ラフデザインはずっと自分の名前で制作していました)

第3稿

ここで全体的な配置や構成などが、決まってきました。あとはどれだけ宝石を「光っているように」見せるか。手法はいくらでもありますがビカビカでソリッドでクールなエフェクトは、コンセプトに合わないのであくまで親しみやすく「光っている」ということを表現する必要がありました。正直そのビジュアルの塩梅でだいぶ迷ってしまい、かなり悩み抜きました。そうして私は、「光とは」の迷宮へ流れ込み、ついには帰ってこれなくなるところまでいきました。あれは壮絶な旅でした。

というわけで、激戦のブラッシュアップの末、20卒の内定書が完成しました。

完成

新しい宝石が着水することで、新たな影響の波がGpを揺らし、たくさんの波が共鳴しあって、さらに深く広くなっていく。それは海にとどまらず日本へ、世界へと影響の輪を広げていく。

そんな想いを込めた内定書。

なんとか出来上がりました。こうしてみるとなかなか大変でしたが、とても有意義で楽しいデザイン過程でした。きっとあの日の自分も成仏したはずです。ナムナム。そして何より、グッドパッチを選んで、来年ここでデザインをすると決めた20卒の皆さん。おめでとうございます。みなさんと一緒にデザインができること、とても嬉しく思います。

はい。今回は内定書をデザインする話でした。一連のストーリーを描きながら想いを具現化していく過程の上にいられるのがデザイナーとしてとても楽しく、誇りに思う瞬間です。誰かの一生に一度をより素敵なものになるようにデザインする。改めて自分がデザイナーになったきっかけを強く思い出させてくれた仕事でした。ありがとうございます。

おまけ

ケーキも作ったよ

ABOUTこの記事をかいた人

mine

映画や洋服が好きなデザイナーです
  • Goodpatch Blog