紙からアプリまで。スマホが診察室になる『curon』のサービスデザインの裏側に迫る

紙からアプリまで。スマホが診察室になる『curon』のサービスデザインの裏側に迫る

いつでもどこでもスマホから診察・処方が受けられるアプリ『curon』のデザインリニューアルをGoodpatchがサポートさせていただきました。

わずか5週間という短い期間で行われた今回のデザインリニューアル。どのようなデザインプロセスでプロジェクトを進めていったのか、リニューアル携わったGoodpatchのUXデザイナー/ プロジェクトマネージャーの小川に話を聞いてきました。

現場の声を吸い上げ、課題を可視化

──早速ですが、今回のプロジェクトはどのようにスタートを切ったのでしょうか?

小川 今回は既存サービスのリニューアル案件で、「今後の拡大に向け、サービスの全体的な体験の質を向上する」というのがゴールでした。
まずは、既存のユーザーがどのようにcuronを利用しているかの洗い出しから始めました。curonのCEO、エンジニア、営業の方々を巻き込んで、サービスの一連の流れと、ステークホルダーがどう関係し合っているのかを「サービスブループリント」を用いて可視化しました。

サービスリニューアルする際、チームでユーザー体験を向上させるためのサービスブループリント

サービスブループリントとは、ユーザーがサービスを利用する流れに沿って、その行動やタッチポイントをマッピングしていき、サービス全体の基本設計をTo-Beで可視化するものです。
Goodpatchとしての見解を織り交ぜながら、抽出した課題をサービスブループリント上に可視化し、どのような解決策があるかを議論しました。

プロジェクトのゴールが曖昧かつ認識の齟齬が生まれやすいものだったので、このワークをすることで、株式会社情報医療のみなさまとGoodpatchでプロジェクトのスタートラインに立つ「目線合わせ」ができたことはとても良かったと思っています。

患者さんとのタッチポイントにこだわった施策

──いくつか課題が見つかったと思うのですが、どのように施策を進めていきましたか?

小川 ボトルネックとなっていたところには全て施策を打ちましたが、ある程度パワーバランスをつけて、特に体験の質に関わっている課題に力を入れて取り組みました。また、アプリ内で解決できない課題できないと判断した課題に対しては、アプリを超えたサービスデザインとして柔軟に施策を打ちました。

今回は特に「医療機関と患者さんのタッチポイント」にこだわりました。医療機関から患者さんにcuronを勧める際にうまくサービス内容を伝えることができず、ダウンロードにつながらないという課題があったので、実際に医療機関で医師が患者さんにcuronの説明を行なっている様子を観察してみました。観察する中で、医師の説明が患者さんのサービス認知に直結するということを実感し、「医師が患者さんにサービス内容を伝えやすいパンフレットの作成」を提案しました。株式会社情報医療の方々にもご賛同いただけたので、施策として取り入れ、パンフレット作成まで行いました。

パンフレットを作成する際には、観察を活かして医師の説明のしやすさにとことんこだわりました。パンフレットの開き方や折り順を決めるために、紙をなんども印刷してプロトタイピングを重ねました。

このように、実際の利用シーンから詳細に想像して、サービスへのエンゲージメントを高められる施策をとりました。僕らがやっているのはサービスデザインなので、今回のようにアプリ内で解決できないと判断した課題には、今後も柔軟に施策を打っていけたら良いなと思っています。

──ビジュアルデザインではどのような工夫があったのでしょうか?

小川 アプリのUIデザインは、デザイナーの笹山が細部までこだわっていました。
例えば、治療を継続していくと月に1度アプリ上で問診票が送られているようになるのですが、患者さんの中には治療を継続することに対してネガティブな気持ちを抱いてしまう方もいます。そのため、問診票が届くことがユーザーにとってストレスにならないような「ちょっとした演出」を追加しました。
その演出自体も、患者さんの感情に作用するような過度なものではなく、一瞬「おっ」と思えるようなインターフェースになるように工夫を凝らしました。

他にも、アプリ内で1番時間を使うチャット画面の吹き出しのインタラクションは、「アプリのトンマナに合っている」「違和感が無く・心地よい」「繰り返し見ても気にならない」といった点に気をつけて作成していました。
吹き出しの出方・入力中の表現・選択肢の出現・選択時の反応、それぞれ動き方は何度も違和感がないように調整し、タイミングやスピードも10ms単位で修正を行いましたね。

チームで隠し事のない状況を常につくる

──今回はデザインリニューアルまでの案件だったと思いますが、その後の実装につながる工夫などはされましたか?

小川 エンジニアが実装する際に施策の意図がブレないような資料づくりをminispecを使って行いました。
今回は、サービスブループリントで明確になった課題1つにつき1つのminispecを作成し、施策検討時に僕がある程度フォーマットを埋めて、MTGで随時曖昧な点を明確にしていくという方法を取りました。
随時ワイヤーやProttなどのアウトプットもこの資料に添付していき、エンジニアの方が「なんでこの施策をするのか、どうしてこういう仕様になったのか」をぱっと見て分かるような資料にすることをゴールとしてイメージしながら作っていきました。

また、簡略化したカスタマージャーニーを作成し、現在とリニューアルによってユーザーの感情がどう変化するかを記載しました。
記載することで、感情曲線の変化はどの施策によるものなのかが明確化し、「これはなんでやるんだっけ?」という疑問にうち当たった時にこの図を見返すことで意義の振り返りができました。

信頼関係から生まれた「無駄のないプロダクト」

──今回のプロジェクトを振り返ってみて、特に良かったと思う点を教えていただけますか?

小川 一緒にプロジェクトを進めたデザイナーの笹山はお互い創業当初からいるメンバーでした。そのおかげでコミュニケーションコストが少なく、大事なディスカッションにしっかりと時間を割くことができました。お互いの強みを踏まえた上で、明確な役割分担ができたことも良かったです。

5週間という短い期間ではありましたが、無駄なくスピード感を持ってやれたのではないかなと思っています。プロジェクトで不必要に多くドキュメントを作成するケースはよくありますが、今回は無駄なドキュメントが一枚もなかったです。

取り組んだ施策もアプリに留まらないサービス全体のデザインだったので、非常にやりがいを感じましたね。


新しくなった『curon』。今年の冬に、アプリデザインのアップデートが完了したようです。

リニューアルされたアプリケーションはこちら。
iOS
Android

アプリケーションのデザインだけに止まらず、プロダクトを利用するユーザーのことを細部まで配慮したデザインが魅力的です。Goodpatchとしても、この先「スマートフォン端末だけに止まらないデザイン」に1つでも多く取り組みたいですね。


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ABOUTこの記事をかいた人

藤原 彩

'94年 広島出身。18卒のPM内定者で、夏休みの間だけgoodpatchでインターンをさせていただいています。
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