iPhoneのUIデザインを語る上で欠かせない、天才デザイナーMike Matasとは?

Mike Matas(マイク・マタス)というデザイナーの名前を聞いたことはありますか?以前「Dribbbleでフォローしたい、世界トップレベルのUIデザイナー14人」でも少し紹介しましたが、UIデザインの歴史について調べたら必ず彼の名前が見つかるはずです。Mikeは私たちが毎日使っているiPhoneのユーザー・インタフェースの重要な部分を多く担当し、今のUIの基礎を生み出したと言っても過言ではないほど、素晴らしいデザイナーなのです。今回のMEMOPATCHは彼が今まで手掛けてきたデザインをまとめて紹介します!

14歳からデザインの仕事をはじめる

Mike Matas(マイク・マタス)は14歳のときにMac OS Xアプリケーションのためのアイコンやロゴを描くというスモールビジネスをはじめ、Macのコミュニティの間でアイコンデザイナーとして徐々に有名になっていきました。(上に掲載したWatsonとMove 2 Macのアイコンデザインは恐らく16歳の頃に手掛けています。)

15歳でThe Omni Group(シアトルにあるソフトウェア開発会社)に参加し、UIデザインを担当するように。そこで出会ったWil Shipleyと18歳のときにDelicious Monsterを立ち上げ、高校は中退してしまいます。このDelicous Monsterで作ったアプリがDelicious Library。これはMac向けのアプリで、本や映画、CDやゲームなどのバーコードを読み取って、自分が持っているアイテムの管理ができる、というもの。今はApple製品が一般化し、便利で洗練されたデザインのアプリは数多くありますが、これを今から10年以上前の2004年に制作しているのですから驚きです。このDelicious LibraryはApple Design Awardを受賞しています。

Delicious Library

このインターフェース、どこかで見たことがあると思いませんか?Delicious Libraryの木製の本棚のデザインは、AppleのiBooksやNewsstandの元になったのではないかと言われています。今となっては馴染みのあるインターフェースですが、それを生み出したのがMike Matasなのです。

19歳でAppleへ

そして2005年、19歳という若さでAppleへと移った彼は、密かにiPhoneのUIをデザインしていました。(最初のiPhoneが世に出たのは2007年。)ここで私たちが毎日使っているiPhoneのUIデザインの基礎が生まれます。今となっては当たり前ですが、iPhoneが登場するまでマルチタッチデバイスの電話は存在しませんでした。そしてそのiPhoneのインターフェースの中でいくつか重要な部分を彼が考案しているのです。彼がデザインしたアプリは、カメラ、地図、設定、写真の4つ。iPhoneの標準アプリの数を考えると、4つというのはかなり大きな数なのではないでしょうか。

設定(iPhone)

iPhoneの設定画面で、それまで一般的だったラジオボタンではなく、スイッチのメタファーとして切り替え可能なボタンをデザインしています。

地図(iPhone)

地図アプリでは、現実のメタファーを利用して目的地をピンで示しています。今ではすっかりお馴染みですが、これもMikeのデザイン。

写真(iPhone)

写真アプリでは、限られた画面サイズの中で写真を表示するためにメニューを半透明にしています。iPhoneはそれまでの携帯電話と違い、持っている向きを判断できるデバイスです。カメラや写真アプリは横にしたときはそれに合わせたデザインとなっています。

バッテリー

そしてこのiPhoneのロックスクリーンで何度も目にしているバッテリーもMike Matas。

写真(iPad)

このように写真が重なっているのはMikeのデザインで、特に気に入っているのだとか。

Photo Booth


Appleでデザインしたものの中で一番最初に世に出たのはPhoto Boothでしょうか。これはスティーブ・ジョブズがとても気に入っていて、Mikeのオフィスに訪れて楽しそうに遊んでいる写真を、彼が亡くなったときにFacebookで公開しています。

Time Machine(Mac)

Time Machineのデザインも彼です。

23歳でAppleを離れ、Push Pop Pressを立ち上げる

「私たちの選択」

4年間Appleで働いた後、Push Pop Pressを立ち上げ、Al Goreの「私たちの選択」を電子ブックアプリとしてリリースしました。息を吹きかけると画面の中の風車が回ったり、地図をタッチすることでデータを表示させるなど、様々な仕掛けを盛り込んだアプリで、これについては「次世代デジタルブック」としてTEDでトークもしています。ところでAppleが出したiBooksの教科書はこの「私たちの選択」にそっくりで、

「もうAppleでは働いていないんだけど、まだ僕は彼らのプロダクトをデザインしているみたいだね。」と皮肉を込めたツイートをするほど、彼がデザインした電子ブックアプリに似ていました。

Nest Learning Thermostat

他にもAppleの元iPod開発責任者Tony FadellがCEOをつとめるNestのサーモスタット(温度調節装置)のデザインをしています。(参考:
iPodの設計者が作ったNestサーモスタット, その中身がすごい)

2011年にPush Pop PressはFacebookに買収され、MikeはFacebookで働くことに。Facebook Cameraや、先日話題になったFacebook Homeのデザインを手がけたと言われていますが、彼がどの程度関わっているのか、また今何をデザインしているのかははっきりとしていません。何にせよMike Matasが今後どんなデザインをしていくのか非常に楽しみです。

あまりにも身近で意識することは少ないかもしれませんが、私たちが毎日使っているiPhoneのユーザー・インターフェースの多くの部分を、Mike Matasという天才デザイナーが手掛けていたのでした。こうやってよく目にするデザインをどんなデザイナーが手掛けたのか、他にどんなデザインをしているのか、また今どんな会社にいるのか調べてみると面白いかもしれませんね。そしてこれからもMEMOPATCHでは世界の優れたUIデザイナーについて紹介していくのでお楽しみに!

参考文献:
Mike Matas
Interview: Mike Matas
Breaking into the Business: An Interview with Michael Matas
・Mike Matas – Product designer
・Wikipedia Mike Matas