iPhoneからみるUIにおける音の重要性とは?

UIと聞くとついつい画面上のビジュアルの話を連想しがちですが、音もUIを考える上で重要な要素となっており、スマートフォンでは通知音や効果音など様々なところで音が使われています。似たような種類のアプリでも使用されている通知音・効果音は全く違っていたり、こんなところで使われていたんだと驚くようなところで効果音が入っていたりすることも多いかと思います。こういったUI上で用いられている音はどのような意図・役割を持って選ばれているのか不思議に思うものもありますよね。

そこで、今回は現在ロサンゼルスのHuluでUXデザイナーをしている、Jordan Kolasinskiさん(Twitterアカウントはこちら)のブログ“Beyond The Beep”“The iPhone’s UI Sounds”というタイトルでiPhoneにおける音の役割がまとめられていましたのでご紹介します。このブログの記事は去年の1月に書かれたもので、扱っている音もiOS 5のものとなっていますが、とても興味深い内容だったので参考にしてみてください!

(以下、”The iPhone’s UI Sounds”の翻訳)

iPhoneのUIにおける音の役割

今やスマートフォンは皆さんの体の一部として切っても切りはなせない存在になりつつあります。その中でもiPhoneは歴史的にも最も売れているプロダクトの1つで、皆さんもiPhoneの通知音や効果音に聞き慣れていると思います。iPhoneは、UIにおける音の重要性を考えるのに最適の例です。

iPhoneで使用されている音は、リアリスティックシンボリックバーバルメタフォリックの大きく4種類に分けることができます。

リアリスティック

iPhoneのロック・アンロック

iPhoneのロック、アンロックをするときの音はリアリスティックと呼ばれる、現実にあるものの音をそのまま使ったかのような音に分類されます。両者ともバネ式の鍵を開け閉めしたときに近い音になっています。iPhoneには当然物理的な鍵は存在していませんが、このような実際の鍵の音を用いることで、iPhoneを使うユーザーに、鍵が持つ安心感や信頼感といったイメージを与えています。
そしてこの音は、慎重に設計されたiPhoneのプロダクトイメージの一面を垣間見せると同時に、ユーザーにiPhoneがロックされたのかアンロックされたのかということを伝えるという重要な役割を果たしています。

カメラのシャッター音

iPhoneのカメラのシャッター音も同じようにリアリスティックな音で、言うまでもなく本物のカメラで写真を撮るときのシャッター音のような音を使用しています。シャッター音の中でもあえて、古いアナログカメラなどの音ではなく、高性能なカメラを想起させる音を使用しています。このシャッター音も、「たった今写真を撮りました」ということを伝えると同時に、iPhoneの高品質・高性能なイメージをより強く伝える役割をしています。

多くの人々は、上記の音に対して、Appleのスキューモーフィズム的表現の延長にある装飾的な音表現の1つにすぎないと思っているかもしれません。たしかに、iPhoneには実際にカメラシャッターがついている訳でもなく、物理的な鍵がついている訳でもありません。しかし、こういった現実にあるものの音を使用する際には、プロダクトの、そしてAppleのイメージをより強く、しかし主張しすぎずに、伝えるため慎重に、巧みに音が選ばれていると思います。

シンボリック

シンボリックな音とは、リアリスティックな音のように音自体が現実にあるものと紐づいて意味を持つ訳ではなく、実際に行っている動作や操作を象徴する音のことを指します。iPhoneではこのシンボリックな音がUI上で多用されています。

キーボードの入力音

iPhoneのキーボードで文字を入力するときの音は、iPhoneがタップされたことを示すための音です。「ユーザーのアクションがデバイスに届きました」ということを知らせる音は、ユーザーインターフェース上での音の役割として最も多いでしょう。液晶ガラスが物理キーのようなキーを押し込む感覚を得られないため、このような方法がよく使われています。Android端末ではタップ時にデバイス自体に短いバイブレーションを与えてその役目を果たしているものもあります。

ボイスメモの録音開始・終了の音

ボイスメモを録音し始めるときにも、短い音が開始の合図として再生されます。録音を終えたときには、開始したときと同じ音が2度素早く再生されます。この音自体には録音を連想させるような意味は含まれていません。しかしながら、ボイスメモアプリ内のみでこの短い特徴的な音を使うことにより、ユーザーはこの音から「録音する」という動作を連想するようになりました。

Siriの起動・終了・音声認識の音

Siriは起動するとき、終了するとき、そして、音声を認識したときを、それぞれ高さの違う音が同じリズムで再生されます。ほとんどのユーザーは絶対音感を持っている訳ではないので、それぞれの音の違いが高さのみになると問題点も生じてきます。ユーザーは、それぞれの音が比較的短い間隔で連続で再生される場合には、音の高さの違いに気付くことができます。しかし、少し長くSiriに話しかけると、私の場合、一つ前の音を忘れてしまい、音の高さの違いを認識することができないことがありました。つまり、運転時などの画面を見ることができないときには、音だけでは、Siriが音声の認識に成功したのか失敗したのかが分からないということもありえます。

バーバル

バーバルな音とは人間が話している声のことです。

iPhoneでのバーバルな音には、Siriが質問などに対して返事をする際の音が例にあげられます。Siriが返事をするときやウェブサイトの文字などを読み上げるときのバーバルな音は、目が見えない方にとっては情報を理解する上でとても重要な方法です。

メタフォリック

メールの送信音

iPhoneではユーザーの行動を比喩的な音で表現しているものも存在します。メールを送信する際には、ピクサー映画などでよく聞く、おもちゃのロケットが発射されたかのような音が再生されます。この音は自分のメールがインターネットを介してロケットのように発射されたということを表現しています。

メールの受信音

メールの送信音について触れたため、ここでメールが受信したときの音も紹介しますが、聞いて分かる通り、この音はまさにシンボリックに分類される音でメールを受信することに対する意味合いはありません。

テキストメッセージの送信音・受信音

テキストメッセージを送信するとき、受信するときには、高さの変化する音が再生されます。この音の高さの移り変わる方向によって比喩的に、ユーザーに受信送信を連想させるものとなっています。テキストメッセージを受信したときには、高い音から低い音へとスライドする音が用いられており、高い音から低い音、そして自分のもとへ降りてくるようなイメージを与えています。
これにとても良く似た音がiChatでも使用されており、Macユーザーに対してiChatとテキストメッセージが関係しているものであると伝えています。

iPhoneを充電プラグに挿すときの音

同様にiPhoneを充電プラグを挿すときには、音がスライドしながら高くなっていきます。この音の高さが高くなっていくことで、前に進むような、上昇していくようなアクションを連想させて、充電が開始されたことをイメージさせています。

ロック時のメッセージ受信音

ロックされた状態でテキストメッセージを受信した場合には、上述したメールの受信音やテキストの受信音とは異なる音が再生されます。このときの音はiPhoneが使用する音の中でも最も音楽的な音で、この音が他のApple製品でも用いられているにも関わらず、私はiTuensでCDの焼き込みが完了したときのような音をよく連想していました。この音は少しだけハッピーなイメージの音であると思います。
ここで用いられている3音(D4-A4-D5)はルート音-メジャー5th-オクターブ音の組み合わせとなっており、音楽理論の深い説明はしませんが、明るいイメージを与える音の構成になっています。実際にはテキストメッセージがもちろん悪い知らせの場合もありますが、この受信音は、ユーザーにテキストが来たことに喜びを感じられるよう選ばれたのではないでしょうか。

Twitterへの投稿音

iOS 5ではどのアプリケーションからでもTwitterに投稿できるようになっています。ツイートの送信に成功した際には、鳥の鳴き声のような2音が再生されます。これはTwitterが鳥をブランドイメージに起用しているためでしょう。Twitterの鳥は、鳥のさえずりのように短いつぶやきをシェアできるということを比喩的に表しています。この音はTwitterのブランドモチーフの鳥をそのまま用いており、Twitterのブランドイメージをより強く伝えています。

(翻訳はここまでになります。)

いかがでしたでしょうか。iOS 5についての記事なので現在と少し変わっているものもありますが、UIにおける音の考え方はとても興味深かったです。音の高さの移り変わりでアクションを想起させるというものは、確かにいろいろなところで使われている手法ですね。

UIにおける音とは、ユーザーのアクションに対するフィードバックとして用いられる中で、同時にそのアプリケーションのブランドイメージまでも考慮した音選びが行われていることが多いようですね。また、スキューモーフィズム的な、現実にあるものの音を参照してユーザビリティの向上につなげる音も多く見られました。UIを設計する際には、ビジュアルだけでなく、同時に操作に対する効果的な音についても考えてみると良いかもしれません!

元の記事はこちら:“The iPhone’s UI Sounds – Beyond The Beep”
こちらのブログでは他にもSkypeの音についての記事など興味深い記事が多くあるので、読んでみることをお勧めします!