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だまし絵のように美しいゲーム Monument Valley の制作秘話

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最も美しいモバイルゲームの一つと呼んでも過言ではない「Monument Valley」。まるでエッシャーの描く建築世界に迷い込んだ感覚をプレイヤーに与えるゲームです。Monument Valleyは世界中のユーザーを惹き付け、昨年にはApple Design Awards(Appleデザイン賞)も受賞しました。

最近では、制作元のustwo が同社ブログ上で、収益やダウンロード数などの数字を公開。600万ドル近い収益、またインスールされたユニークデバイスの数は1000万近くと、その数字もまた注目を集めました。

今回は、そんなustwoでMonument Valleyの制作に携わったManesh Mistry 氏とNeil McFarland氏に開発ストーリーについてインタビューさせていただきました。

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まず、チームについて教えてください。

Manesh: チームは8名体制です。ディレクターとしてNeilがいて、あとプロデューサーとプログラマー、3名のアーティスト、品質管理担当者がいます。ゲームを作るのに必要な人材はすべてそろっています。

基本的には、ゲーム好きの集まりといったかんじですね。チームメンバーはみな、今までの人生でゲームばかりやってきました。そんなゲームに対する情熱を制作に注ぎ込んでいます。それから、デザイナーでもプログラミングスキルがあるというように、メンバーはみなマルチスキルの持ち主です。

自分たちのつくるゲームに対しては、チームメンバーがそれぞれ大きな意思決定権をもっています。アイデアだしから、実行に移すまで自分たちで決めていて、本当の意味で自分たちのゲームだという思いを抱いています。チームメンバー以外の影響力を気にする必要はないのです。

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追加ステージの「Forgotton Shore」の反応はどうでしたか?

Neil: トラクションの点では、リリース時の反応はすごく良かったです。その後も継続的にメディアで取り上げられたので、安定した売上をつくることができました。

Manesh: Forgotten Shore には本当に大きな反応がありました。Forgotten ShoreはMonument Vallyの最終章で、ゲームにさよならを告げるようなステージです。当初はユーザーの5%ぐらいがForgotten Shoreにサインアップしてくれるのではないかと予測していたのですが、実際のサインアップ率はそれをはるかに越えるものでした。ユーザーからの信頼がとても厚いのです。ユーザーはコンテンツに大きな価値を置いていて、支持してくれています。そうしたモバイルゲームコミュニティはすばらしいと思いますね。

誰かの人生にとって意味のあるものを作ったと感じる瞬間が嬉しい

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Monument Valley の制作において、一番誇りに感じている点はなんですか?

Manesh: Monument Valley を作ったことで、大きな注目を得られました。Appleデザイン賞を受賞できたことなども、本当にすごいことだと思います。ですが、それよりも嬉しいのはユーザーからの反応ですね。子ども達がおじいちゃん、おばあちゃんと一緒にこのゲームで遊ぶというように、さまざまな層のユーザーがゲームで遊ぶ光景を見れるというのは予期していませんでした。計画して実現できることではありませんしね。ですが、そうした予想外の反応を見れたことは、本当に嬉しかったです。

最近では、9名で同時にMonument Valleyをプレイできるという話も耳にしました。一つのiPadを9名が囲んでプレイするんですって。こういう話を聞くのは嬉しいですね。

Neil: こうした予想外の反応は、確かに一番嬉しいですね。こうしたことは計画できませんし、どういった反応が実際にあるかというのは分かりませんから。ゲームを世に出したあとに、誰かの人生にとって意味のあるものを作ったんだと感じる瞬間は誇らしくなります。

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プロトタイプづくりはどのように進めていますか?

Manesh: 使用しているツールは、UnityとBlender、Photoshop です。できるだけ早い段階で、スケッチからUnityに移行します。メンバーは全員、Unity上で描くことに抵抗がありません。先ほども話しましたが、プログラマーもアーティスティックなスキルをもっていますし、アーティストもプログラムができます。なので、誰でもどの段階でもUnityに入って、プレイ可能なものをつくることができるんです。

あと、最初の段階ではスケッチも大量につくります。その後のプロセスにおいても、たびたびスケッチを描いて、互いに確認し合います。

Neil: 複雑な構造のものをつくるのは特に最初は大変なのですが、一度実現したいもののアイデアが固まれば、すぐにUnityに移行してしまって、つくってみて、それが本当に自分が頭で描いていたものと一致するのかを確認する方が簡単な場合があります。

建築自身を主人公にしたいと考えた

Artboard 15

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ゲームの背景にあるコンセプトについて教えてください。

Manesh: 全体を通じて、型にはまらないものをつくりたいという思いがありました。なにも制約のない状態だとしたら、どのようなゲームをつくりたいか、と私たちは自分自身に問いかけました。なのでスタートした時点では、とにかく大量のスケッチ、ゲームのプロトタイプ、アイデアを出しました。その中でも特にメンバーを惹き付けたのが、リードデザイナーが非対称の建築を描いたときです。なぜだか、それがメンバーの共感を呼びました。そこには、エッシャーや建築への愛が表れていました
。多くのゲームで建築は背景、またはキャラクターがいる場所として扱われますが、私たちは建築自体をを主人公にしたいと考えたのです。それだけでなく、実際にプレイヤーがその中に入って、建築を触ったり動かすことができる感覚を実現したいと思いました。そういうものを作る必要があると感じたんです。

もう一つ重要な思いは、誰もゲームから除外しないというものです。超難関パズルを作ることもできました。でも、そんなゲームを一体誰のために作りたいんだと考え直したんです。私たちは誰でも楽しめるゲームを作りたいと思いました。

予想外に多かった日本人ユーザーによるツイート

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日本市場へのリーチには満足していますか?

Manesh: 日本向けのローカリゼーションはできるだけ高い精度になるように意識しました。社内に日本語が話せるメンバーも何人かいたので。あとダウンロード数で言えば、日本はトップ10に入っていますね。

ツイッターのようなソーシャルメディアでの反応はたくさん見ました。日本語のツイートはとても多かったです。とても嬉しいことでしたし、これもまた予想外のことでした。日本人ユーザーからのファンアートも多かったです。実は、僕が気に入っているファンアートの一つは日本人ユーザーが描いたものなんですよ。

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ゲームクリエイターに向けてなにかアドバイスはありますか?

Manesh: 私は自分のアイデンティティはゲームメーカーであると考えています。ゲーム制作は仕事でもやりますし、余暇の時間にもやります。生活の中心なんです。私からのアドバイスは、とにかくゲームを作りつづけること、アイデンティティとなるレベルまで、ひたすらやり続けることです。

Neil: あとすごく重要だと思うのは、ユーザーテストですね。私たちはユーザーがどのようにゲームをプレイするのかを観察しました。徹底的に観察したので、他のゲームを見るときにも細部まで観察できるようになりました。ゲームについてより深く学ぶことで、どの点を修正すべきかというのが分かるようになりました。これは、とても重要なことだと思います。

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今後の取り組みについて教えてください。

Manesh: 私たちは今、あるバーチャルリアリティのプロジェクトに取り組んでいます。元々はMonument Valleyのイラストからインスピレーションを得たものなのですが、そのあと完全に個別のプロジェクトになりました。この後数ヶ月はそのプロジェクトに時間を費やして、それが終わったら全く新しいものを始める予定です。Monument Valley で体験したプロセスを一から始めるつもりです。まったく制約のない状態で考えていくプロセスです。全員でブレインストーミングをして、どんなものを作りたいか考えるつもりです。既にそのプロセスを、今回楽しめましたからね。

Thank you again to Manesh and Neil for taking the time to talk to us!

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