先月末、Goodpatchの有志メンバーで「グラフィックレコーディング(以下グラレコ)社内勉強会」が開催されました。
本日はそのレポートをお届けします!

Goodpatchでは、UIデザイナー / グラフィックレコーダーの香林をはじめとして、他のメンバーにもグラレコが広まっており、社内で馴染み深いものとなっています。
その影響もあってか、勉強会にはデザイナー以外にもプロジェクトマネージャー、エンジニア、人事、マーケターなど幅広い職種のメンバーが参加していました。また、講師を務めた香林の隣で実際に私が勉強会の様子をレコーディングしていきました。

「グラレコに興味はあるけど、何から始めたらいいのかわからない…」という方にも、最初の一歩の踏み出し方としてこのレポートが参考になれば幸いです!

基礎知識:そもそも「グラフィックレコーディング」って何?

グラレコはアウトプットが目的ではなく、目的達成のためのツールの一つにすぎません。
「アイディアを膨らませるため」や「意見をまとめるため」など、それぞれの目的に合う形でレコーディングしていくことが大切です。
絵が苦手だからと敬遠しがちな方も多いですが、上記の通り絵を描くことが目的ではないため、問題ありません!

また、グラレコの手法を学ぶことでコミュニケーションのツールがひとつ増え、スムーズな意思疎通が図れたり、自分の思考を整理する際に役立ったりと利点はいくつもあります。

トレーニング:実際に手を動かしてみよう!

大きな模造紙を使ってリアルタイムに描き込んでいくというイメージを持たれる方が多いかと思いますが、今回は入門編として、グラレコでよく使う表現方法をパーツごとに分解してA4用紙に練習するワークをしました。

A4用紙は普段使い慣れているサイズ感で練習することで、コミュニケーションツールという考え方や使い方を理解することができます。それに加えて勉強会後でも復習しやすく、実践しやすいメリットもあります。

ウォームアップ

まずペンに慣れるために直線・曲線や円・四角形など簡単なものを描いていきます。
構造化をするにあたって線の使い分けや図形を用いた図示などに用いられ、重要な役割を果たします。

また、円の右側と下側に線に沿って色を入れるだけで左上から照明があたっているような立体感を出すことができ、線だけのものより質が高くなり目に留まりやすくなります。
人物や文字にも応用できるので、最後の仕上げに取り入れることが多いです。

アイコン

勉強会に合わせてオリジナルの参考シートを作りました!これを見ながらまずは真似して描いていきます。
上記の図で右側に描いたような、人物を簡単に伝わりやすく描くポイントは、グラフィックレコーダー清水淳子さんの下記の著書を参考にさせていただきました。
Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書

パッと見ると見慣れたアイコンでも、いざ描いてみると、「真似しながらでも難しい!」との声が。

次はレベルを上げ、参考を見ずに、普段よく耳にする単語をアイコンにしていきます。
ワーク後はそれぞれが描いたものをお互いに見せ合い、フィードバック。
表現がイメージしづらい単語でも、みんなで意見を出し合いながら伝わりやすいアイコンを探っていきました。

文字装飾

文字装飾はタイトルや重要なキーワードなど他の要素と差別化したいときに用います。
また、トピックタイトルに同じ装飾を用いて、情報の並列を表すこともできます。

実例を見た後は、実践していきます!

ここでも、お題をもとに文字装飾を行いました。「仕事」といった単語から「移動(慌ただしい)」など条件付きのものまで。
みなさんだったらどう表現するでしょうか?
文字装飾は、まんがの吹き出しや効果音の表現なども参考になるので、読む際に意識して見てみるとおもしろいですよ。

構造化

ここでは香林がこれまでに書いた実例をもとに、参加メンバーからの質疑に応える形で説明を進めていきました。

Q:グラレコを描く際にレイアウトで気をつけていることは?
A:逆N型やZ型のように、人の視点の流れを意識してまとめることや、時間配分に応じて書く面積をざっくりと見積もること。

Q:色はどのタイミングで塗るの?
A:色を乗せるのは最後の仕上げのタイミングが多い。複数色使うときはそれぞれに役割を持たせることで、情報の意味を判別しやすく、強弱が明確になる効果がある。

Q:第三者視点で見ると、内容がすぐに把握しづらいものもあるのでは?
A:レイアウトや見せ方は目的に応じて描き分ける。第三者に伝える目的がそもそもない場合も。
情報共有や振り返りを目的としたものは、プロセスが伝わりやすいように番号を振ったりタイトルを目立たせるといった描き分けをしている。

質疑から構造家に関するインプットをした後に、簡単な練習から実践形式に挑戦し、構造化のトレーニングをしました。

まとめ:感想をグラレコしてみよう!

最後の課題は今日の感想をA4用紙1枚で表現。
それぞれがまとめた勉強会の感想を前に張り出してお互いの感想に付箋を使ってフィードバックをします。

人の表情を時系列に並べて自分の感情の変化を表したり、勉強会の内容を数字をつけることでステップを表現して振り返ったり、
どのメンバーも勉強会で得たことを早速実践しながら感想をまとめていました。

 

グラレコで勉強会を振り返る

そして勉強会を記録したグラレコがこちら!



私にとって2回目のグラレコの挑戦の場となりました。
前回から間が空いてしまいドキドキでしたが、今回はワークがメインでじっくり時間があったため、テキストを少なくし、一つひとつのプロセスがアイコンで簡潔に伝わるような新たな書き方のチャレンジができました。
この工夫によって、参加した方が後に振り返った際に思い出しやすい形になったと思います。

色をつける際には寒色は全体のステップ、ステップ内の詳細や伝えたいメッセージは暖色という役割を与えてまとめることができました。

今回のグラレコ勉強会は、「絵が苦手」というメンバーもどんどんチャレンジしていて、新しいものを積極的に吸収するGoodpatchらしさが垣間見えました。

また、同じアウトプットをすることで職種やポジションに縛られないフラットなコミュニケーションができる場にもなっていたようです。
グラレコは“コミュニケーションツール”のひとつである、という役割を体現していた勉強会だったのではないでしょうか。

今回は基礎編でしたが、次回は実際に模造紙に描くための応用編を開催予定ですので、そちらのレポートもお楽しみに!