デザインが優れている、海外のFinTechサービス5選(東南アジア編)

こんにちは。これまで中国や欧米のFinTechについて、デザインが優れているFinTechサービスを中心にピックアップしてご紹介しました。

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デザインが優れている、海外のFinTechサービス5選(欧米編)

ですが、これからさらなる成長が見込まれているマーケットは東南アジアにもあることをご存じでしょうか?

今回は、東南アジア諸国の数あるFinTechスタートアップの中から、送金・決済機能をもつサービスを、実際にUIに触れてみて魅力を感じたもの・友人に勧められたものを基準に選んでいます。

一部ではありますが、これからローンチするサービスも含めて、シンガポール・インドネシア・タイ・ベトナムのサービスをご紹介します。

シンガポール

シンガポールは「スマート金融センター」というビジョンを持ち、FinTechにまつわるイベントを多数開催しています。日本の金融庁とも2017年3月に協定を結んでおり、今最もFinTechに注力している東南アジアの国の1つだと言えます。

今回はさまざまなサービスの中でも、実際にデザインが美しく、使ってみたいと感じたサービスをご紹介します。

指紋認証で送金:fastacash

シンガポールの決済アプリ『fastacash』は、Facebookや他のSNS上でつながっている友人に、簡単に送金できるサービスです。2015年に150万ドル(約16億円)の資金調達に成功し、シンガポール国内で最も大きいFinTechへの投資となりました。また、シンガポールの大手銀行DBSとも提携しています。

CEOのVince Tallentが目指したのは人々の日常生活と密接に連携した送金サービス。「ユーザーがチャットで写真を送れるなら、お金も送れるだろう?」と考え、「人々が生きていく上で必ず保有するものに送金機能を結びつけたい。それが、携帯電話とインターネットでした」と語っています。

(参考記事:Fastacash raises $15M series B funding to enable social payments in more

動画を見てわかるように、誰にでもわかるような簡単な手順で送金ができます。

送金側はどのプラットフォーム(FacebookやSMSなど複数から選択可能)でいくら送金するかを選びます。fastalink(URL)が生成され、送金が完了した後、SMSに明細が届きます。fastalinkが送られてきた側はリンクをクリックし、どの預金口座に入金するかを決めます。

fastacashの優れているところは、送金も着金も指紋認証で完了できるところ。
動画を見るだけで、「日本にもこんな手軽な送金サービスがあれば良いな」と思わずつぶやいてしまいそうです。

fastacashは現在、シンガポール、インドネシア、ロシア、ベトナムで使うことができます。
このようなスマートフォンの普及により実現された手軽なオンライン送金サービスは、各国の従来の現金社会に一気にモバイル送金というインフラを根付かせました。次のステップはアメリカ、イギリス、中東諸国へサービスを展開することだそうです。

24時間サポート体制:Paycent

Paycentは、2017年8月にローンチ予定の決済・送金システムです。「世界各国どこでも利用できるキャッシュレスサービス」を目指しています。また、fastacashにはない戦略がいくつか組み込まれていたので、ご紹介します。

24時間サポート体制

24時間休まずユーザーをサポートします。FinTechの中でも、サポートセンターが24時間営業のところはこれまで調べてきた限り少ないです。この姿勢は、他社よりも信頼性をユーザーへ与えることにつながると考えます。

BtoB兼BtoC

Paycentは、個人と法人の両方にサービスを提供します。

BtoCである個人に提供するアプリでは、個人間送金、固定費の支払い、割り勘など多くの機能を提供します。アプリへの金額チャージは、クレジット・デビット・送金・コンビニや提携銀行のATMからできます。

BtoBである法人に提供するアプリでは、店側にアプリを導入してもらい、より多くの人がPaycentのアプリで決済をできるようにサポートします。

Paycentを運営するTEXCENTのインタビューによると、彼らが考える「FinTechを普及させる上で乗り越えなくてはならない壁」は、サービスをより多くの場所で使えるようにすることです。アプリへ登録しても、実際にマーケットで使えなくては意味がありません。そのため、サービスを導入してもらうビジネス側を正しく選択することが大切だと述べています。

個人的には、日本の決済・送金サービスも、店舗側が導入できる決済システムを開発し、よりサービスの普及に注力した戦略を取り入れるべきだと考えます。Paycentがリリース後、サービスがどのようなターゲットにどれほど普及するか楽しみですね。

インドネシア

シンガポールがFinTech諸国として注目を浴びると同様に、近年では隣国のインドネシアへの注目も高まりつつあります。東南アジアで最大人口を誇るインドネシアは、GDPの上昇も著しく、今後も市場取引の加速化が予想されています。

今回は多数あるFinTechサービスの中でも、現地サービスを利用したことのある方にご紹介していただいたGO-PAYを取り上げました。

インドネシアの物流に大変革:GO-PAY

GO-PAYはインドネシアのUberとも呼ばれる「GO-JEK」に埋め込まれた決済機能です。
GO-JEKには移動サービスの「GO-RIDE」だけでなく、宅配サービス「GO-BOX」、清掃サービス「GO-CLEAN」、美容サービス「GO-GLAM」など、多くの機能が盛り込まれています。

左:GO-JEKのホーム画面 右:GO-PAYのホーム画面

GO-JEKの画面に羅列されたサービスのペイメントをキャッシュレスで行えるのがGO-PAYです。
GO-PAYへのチャージ方法は、「GO-JEKのサービスを提供する側に現金を手渡しする」、もしくは「提携銀行のATMから入金を行う」という2通りの方法があります。

他にも多様な機能が凝縮したGO-JEKですが、それぞれが利用者に安心感と利便さを提供しています。インドネシアの物流に大きな革命をもたらし、キャッシュレスのインフラとなっています。

これほどサービスを盛り込んだアプリは、逆にユーザーの困惑を招く可能性があります。ですが、中国のAlipayやインドのPaytmを含め、アジアではすでに多機能を盛り込むことが当たり前となりつつあります。したがって、似たようなサービスが日本でも普及する可能性は十分にあると個人的には感じます。

タイ

2017年1月時点の国連の統計によると、タイの人口は6,800万人で、そのうち約2,800万人がインターネットユーザーでした。このマーケットの需要が次々とFinTechスタートアップの創設を促しています。その中でも日本人が2012年に立ち上げたomiseはメディアでも多く取り上げられています。

今回は、現地で普及している決済・送金サービス『TrueMoney』に着目しました。

オンボーディングなし:TrueMoney

2003年にタイにて設立されたTrueMoneyは決済・送金機能を保有したサービスです。現在(2017年時点)は、カンボジア、ベトナム、インドネシア、フィリピンにオフィスを構えています。また、中国のアリババからも出資をされているほど、今注目のFinTechサービスです。

Ascend Groupの傘下にあるTrueMoneyは、もともとは決済アプリとして誕生しました。銀行提携ATMから入金を行い、バーコードを読み取ることで決済を終えるシステムです。

その後2016年10月に、タイに滞在するミャンマーの出稼ぎ者向けに『TrueMoney Transfer』という送金サービスを開始しました。早くて、簡単で、安全な送金方法をミャンマー人をターゲットに展開し、彼らが自国とやり取りしやすいプラットフォームを提供しはじめたのです。

アプリを実際にダウンロードしてみて、私も驚きました。日本ではまだ使えないのですが、オンボーディングのプロセスがなく、開いた瞬間にホーム画面を見ることができます。FinTechで初期登録前にUIが全て見られるサービスはなかなかありません。タイ語は読めませんが、おそらく個人設定で登録後、QRスキャンやバーコード生成ができるようになるのだと思います。

ベトナム

ベトナムは、2010年にホーチミン市に10億ドルで半導体工場を作ったことをきっかけに、IT企業が多く生まれた国です。マーケットの成長と同時に、オンラインバンクやECユーザーもここ数年で劇的に増加しています。2016年の調査では、人口の約94%(約4000万人)がインターネット利用者であり、そのうち19%(約760万人)がモバイルバンクを利用していることが分かりました。

ベトナムでは最初にできたTimoというオンラインバンクや、Zaloという国内で最も普及しているチャット兼ペイメントアプリがあります。しかし今回は、私が使ってみたいと感じた送金アプリの『MoMo』に着目しました。

5日間のデザインスプリントを実施:MoMo

100万人以上のユーザーを2017年2月時点で保有したMoMo。送金、着金、引き下ろし、預金、固定費の自動引き落としなど実に多様な機能を取りそろえています。アメリカのゴールドマンサックスからも投資を受けています。

先ほど述べたように、ECマーケットの拡大により電子マネー需要が一層高くなったため、MoMoの参入も必然とその流れに乗ることができたのです。2017年現在、71%に当たる45の都市・省に店舗があります。

MoMoはユーザーの1日の利用頻度が低いことが課題であり、2017年2月にUXデザイナーのPhowrとUIデザイナーのAnna Mollyにより、全機能の見直しが行われました。アクティブユーザーを増やすために5日間のデザインスプリントを実施し、UIを一新したのです。
(参考記事:Vietnamese Mobile Wallet Momo Redesign

まずは課題を洗い出し、ユーザーヒアリングを行い、紙とAxureを使いプロトタイプを行ったそうです。
できあがったプロダクトは、FacebookのMessengerからユーザーへ配信されました。そこから得たユーザーのフィードバックを取り入れて、SketchでUIを作成したそうです。

現在はまだβ版ですが、ユーザーの声を多く取り入れた新しいUIにより、今後はユーザーの利用頻度もさらに向上するでしょう。現地へ訪れた際にはこのかわいらしいデザインを、1度は使ってみたいですね。

まとめ

アジアにどういったFinTechが存在するのか?ということを少しでも知るために、今回はまんべんなくオンラインリサーチを実施しました。その中でも、特別使い勝手が良く、今後世界でも普及していくであろう送金・決済サービスをいくつか取り上げています。

リサーチ後、私個人が感じたこととしては、同型のサービスの数が非常に多いため、今後も1つのサービスが独裁的に市場を制すことはないであろうということです。それぞれのサービスが異なるターゲット層に向けた独自の戦略を展開し、この先もユーザーは個々人に合ったプロダクトを選んでいくでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

keika

'94年生まれ。中国と日本のハーフで、1歳から18歳までを中国・上海で過ごす。2016年にロンドンで写真・デザインを学ぶ。グッドパッチが注力しているFintechと、国外のデザイン組織情報を中心に発信。